2019年5月16日 木曜日

事業譲渡の事例から読み解く潮流《web制作会社》

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

web制作会社の事業譲渡に興味があるけれど、実際にどのような事例があるのか、あまりよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。現在、web制作会社は空前の売り手市場で、web制作会社を買収したいと考える企業は非常に多くあります。

この記事では、そんなweb制作会社における事業譲渡の事例から読み解く潮流を解説していきます。

 

web制作会社における事業譲渡の動き

web制作が事業譲渡を行う背景

現在のweb制作会社は、単にwebサイトの作成だけではなく、マーケティングやコンサルティングまで幅広く対応しなければなりません。

率直なところ、今まで通りの経営では、もう事業を続けることが困難になったと実感している経営者も多いと思われます。このような厳しい状況下では、自分の子供にweb制作会社を継がせたいとは思えないオーナーも少なからずいることでしょう。

また、後継者を選ぶにしても、社内から登用するのも難しいという気持ちもあるでしょう。少人数からなるweb制作会社では、ただでさえ現場の作業が激務なのに、それに加えて経営面まで任せることは容易ではありません。

このような背景からか、M&Aを用いて、web制作会社を事業譲渡しようと考えるオーナーが増えています

 

事業譲渡を行う理由

後継者問題の解決のため

後継者問題は、経営者の間で深刻化を増しています。

自身が健康なうちに後継者を決めておきたいと考えている経営者は多いのではないでしょうか。しかし、自分の子供や親戚に事業を継がせることは難しく、従業員の中から後継者を選ぶのも難しいとなると、残された道として、会社の廃業を検討せざるを得ません。

そこで、事業譲渡により会社を第三者に引き継いで、存続させるという方法があります。

なお、後継者が個人保証を引き継ぐ場合は問題ないのですが、経営者の自宅が担保となっている場合は、引継ぎが困難になりますので注意が必要です。

 

経営のプレッシャーから解放されたい

現在のweb制作業界は、上述したようにwebの作成だけではなく、マーケティングやコンサルティング等、幅広い対応ができなければなりません。このように求められるレベルが高く、労働環境もハードな状況下で、経営者の中には、この先もずっと会社経営を続けていけるのか不安に思う方も少なくありません。

また、自分の子供や親戚、もしくは社内の従業員の中から後継者を選んだとしても、必ずしも経営の重圧から解放されるわけではありません。社長職を譲って、会長という立場になっても、自分の身内が社長を引き継いだ場合、自分が社長だったころよりも、経営が気になるようになったと言う経営者の声は非常に多いです。

しかし、M&Aで事業譲渡を行った場合、第三者が経営を引き継ぐことになるので、経営の重圧から解放されます。

 

別の事業に注力したい

事業をいくつか経営しているものの、一つの事業に絞って専念したい、と考えたときに、専念したい事業のみを残して、他の事業を売却することができます。その売却した事業の金額を、残した事業に投資することができるので、一段と事業を成長させることが可能です。

また、その現金を元手に、新しい事業を始めることもできます。新しい事業を始める際も、M&Aを活用して、事業を手に入れることが可能です。初期費用と時間を抑えて、事業を始められるのです。

 

業績が芳しくないため

業績が芳しくないweb制作会社は少なからずあります。そんな会社を買収したい人なんているのか?と考えてしまうのも無理はありません。実際に、赤字や債務超過に陥っている会社の経営者ですら、本当に自分の会社は売れるのか?と疑問に思うことでしょう。

しかしながら、実のところ、web制作会社の買収を考えている企業はとても多いのです。自社にweb制作の機能を持ちたいという企業は、たくさんいます。債務を含めたとしても、事業譲渡で事業を手に入れるほうが、まだ安上がりなのです。

買収に名乗りを上げる企業は多数存在します。実際に1億円以上の債務を抱えている企業であっても、買収した上場企業は実在します。

ですから、自分の会社は債務が多いから事業譲渡は無理だと、決めつける必要はありません。あなたの会社を買収したいと思う企業はきっと存在します。このことは、しっかりと認識しておいて下さい。

 

最近のweb制作会社の事業譲渡事例

webサイトを事業譲渡して高額の現金を手に入れた事例

ファウンダー株式会社(前身:ユービジョン)が、6億2000万円で、webサイト「資金調達のプロ」を東証一部上場企業に事業譲渡しました。「資金調達のプロ」というwebサイトを、6億円以上という高額で譲渡したため、ニュースになりました。法人向け、個人向けに融資に特化したサイトを作り、高額なアフィリエイト収入を得ていた収益性の高さから、「webサイトという事業」を事業譲渡したのです。

サイトの運営期間は3年間で、社員は雇わずに業務委託スタッフのみでサイト運営をしていて、アフリエイト収入による月収は1000万円ほどあったということです。このようなサイトを、自己資本のみで、ほぼ個人で運営していたということは、驚きに値します。

以上のことから、web制作会社の事業というのは、運営しているwebサイト自体も大きな資産となり得、また事業価値でもあるということが言えるのです。

 

広告業×ASP・webコンテンツ制作業の事業譲渡事例

次は、web制作会社が譲受企業となる事例です。

譲受企業であるweb制作会社は、受託制作で売り上げ自体は安定しているのですが、新規開拓などの営業力が欲しいと思っていました。そこで、広告業を営む譲渡企業に強く魅力を感じ、その広告事業を買収することにしたそうです。

web制作会社では、求人広告制作も行っていたのですが、新しい事業として広告業を取り入れたことにより、一段と充実したコンテンツ制作を可能にし、売り上げにも確実に反映されているということです。

 

このような事業譲渡で一番気をつけたい点は、事業譲渡が完了した後です。譲渡する広告事業の内容との相性が良いに越したことはありませんが、経営者同士、相性が良いこともとても重要なのです。

交渉時に事業面だけをビジネスライクに話し合っていても、本当の業務提携は難しいものです。事業譲渡を完了するまでの間に、経営者同士が何度も話し合うことが重要です。

 

株式会社これからの事業譲渡事例

2018年11月に株式会社に株式会社これからがニッチイノベーションを事業承継しました。株式売社これからは、web制作をはじめコンサルティングや運用代行など幅広く事業を行っている企業です。お笑い芸人「にゃんこスター」のアンゴラ村長が勤務していることでも知られています。

株式会社これからは、ネットビジネスの強化と売り上げ増進のためにM&Aを用いて事業承継を行いました。ニッチイノベーションには、EC事業者を対象とした商品ベータベースの構築やショッピングカートへの移行などの豊富な実績とノウハウがあります。株式会社これからは、M&Aを行うことで、この事業価値を手に入れたのです。

 

web制作会社の事業譲渡を実施するうえでのポイント

従業員の人数と質

従業員数によって、ある程度、そのweb制作会社の人材の質が明確になります。

例えば100名を超えるweb制作会社ですと、webデザイナーという職種は社内に存在せず、デザイナー、ディレクター、エンジニアなどの業務が細分化されています。そのため、このように大規模な会社では、デザインとコーディングをバランスよく身に付けることが難しいと言えそうです。

 

web業界において、最も優秀な人材が揃っていると言われているのは、従業員数が10名以下の小規模な会社です。このように小規模な会社では、10名程度で、デザインからコーディング、営業にマーケティングとすべての業務に対応しなければならないので、自分の受け持つ仕事は完璧にこなさなければなりません。高い制作能力を身に付けているのはもちろんのこと、それ以外の業務も高い水準でこなせなければ、小規模なweb制作会社で働くことはできません

しかし、広範囲な分野で、高い能力を身に付けることは非常に難しいと言えます。制作過程を効率よく外注先に振り分けて発注しているなら良いのですが、あらゆる業務を社内で対応している場合は、それらの仕事があまりにも忙しすぎて、新しい知識を身に付ける時間がなく、中途半端な能力しか習得できないということにもなりかねません。

また、ある程度の技能のある製作者でも、業務があまりにも忙しいと、つぶれてしまうという危険性もあります。

 

web業界においては、最も働きやすい会社の規模は、30名程度と言われています

業務が忙しいと、経験が浅くても仕事が回ってきますが、ある程度の人数がいるためフォロー体制もあります。その上、デザインもコーディングも経験することが可能です。つまり、激務になりすぎずに経験を積むことができるのです。

そのため、事業譲渡を考える際は、ある程度の金額こそ必要になりますが、従業員が20~50名程度の中規模なweb制作会社をターゲットにすると良いでしょう

 

直契約の取引先の数

web業界においては、定期的にクライアントからの直接依頼で受注しているweb制作会社は、かなり事業価値が高いと考えられています。そのような会社であれば、第三者に事業を譲渡する必要がないのではないかと考える人もいるでしょう。

しかし、事業譲渡を行うか検討をしているweb制作会社のほとんどは、経営が順調な場合が多いのです。業績が良いからこそ、次世代に事業を残しておきたいと思うのでしょう。

web制作会社の事業譲渡を思い立ったら、思考はシンプルにしなくてないけません。受注数の少ないweb制作会社を、十分な調査をしないで買い取ってはいけないということです。

現状でどれだけの受注数があるか、定期的に受注はあるのかなどを、徹底して調査する必要があります。また、そのweb制作会社の取引先の質も、しっかり見極めなければなりません。

 

一方で、経営状態の良くない事業をあえて買収して、成長させるという方法もあります。この場合は買収する金額も少なくて済むので、事業譲渡後に事業を成長させることができれば、大きな利益を手に出来ます。

実際、この方法で事業を拡張して成功を収めた経営者もいます。

しかし、このような手法を用いるのは、並大抵の経営センスでは難しいといえます。

以上のことから、web制作会社にの事業譲渡を考える場合、受注数の多い企業を選ぶことをおすすめします。

 

取引先企業の規模

web制作会社の事業譲渡を考える上で、その企業の取引相手先企業の規模も大切な判断基準となります

発注がどんなに多くても、実際に支払いが行えない状況まで経営が落ち込む可能性もあるからです。このように焦げ付きのある取引先とつながりのある企業を買い取ることは、絶対に避けなければなりません。

そのため、入金の状況などもある程度は調査する必要があります。事業譲渡を行うにあたり、帳簿類を監査する必要があるので、その際に売掛金などの入金方法を確認することができます。

このようなことから、事業譲渡を考える企業の取引先企業の規模は、ある程度規模の大きな会社であるあることが望ましいと言えます。大企業と取引経験があることや、顧客に大企業が多く存在することは、大きな事業価値になります

 

まとめ

いかがでしたか。web制作会社における事業譲渡の事例から読み解く潮流を解説しました。

上述したように、web制作会社を起業したいと考える人や、自分のweb制作会社を持ちたいと考える人は非常に多いので、現在、web制作会社の事業譲渡はとても盛んに行われています。さらに、web制作会社は非常に高額で取引される案件で、今や売り手市場です。

このように、web業界には大きなビジネスチャンスがあります。web制作会社の事業譲渡に興味のある方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

事業譲渡の事例から読み解く潮流《web制作会社》
web制作会社の事業譲渡に興味があるけれど、実際にどのような事例があるのか、あまりよく知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。現在、web制作会社は空前の売り手市場で、web制作会社を買収したいと考える企業は非常に多くあります。
この記事では、そんなweb制作会社における事業譲渡の事例から読み解く潮流を解説していきます。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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