2018年12月5日 水曜日

居酒屋の事業承継でお困りではないですか?

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

多くの中小企業で、経営者の高齢化が進展しています。高齢化した経営者の多くは、事業承継を行いたいと考えているものの、身内や従業員の中から後継者が見つからず、悩んでいます。その様な状況下で、M&Aによる事業承継が一般化してきました。事業承継は多岐に渡る業界で活用されていますが、その一つに居酒屋業界があります。

ビール会社の値上げや、個店人気の沸騰など、昨今、様々な業界の変化がみられる居酒屋業界においても、事業承継が活用されています。この記事では、M&Aを活用した居酒屋業界の事業承継についてご紹介いたします。

居酒屋を事業承継しよう

後継者問題を抱える方、事業の選択と集中をしたい方、居酒屋の事業承継を検討してみてはいかがでしょうか。事業承継は誰に承継するかによって大きく分けて親族内承継、親族外承継(従業員等)、M&Aの3種類に分類されます。まずは、それぞれどのような特徴があるのか、メリットとデメリットを含めて紹介していきたいと思います。

親族内承継

経営者の親族を後継者とするのが親族内承継です。一般的な事業承継のケースでしたが徐々に減少傾向にあります。メリットとしては、社内外から受け入れられやすく、後継者を早期に決定するため継承の期間を長期間あてることもできます。また、相続などによって財産や株式を後継者に移せるため、所有と経営の分離を回避することが出来ます。デメリットとしては親族に経営の資質や意欲がある者がいるとは限らないので後継者がいない場合があります。また、反対に候補者が複数の場合、後継者の決定や経営権の集中が難しく、親族間のトラブルにも注意が必要です。

親族外承継(従業員等)

親族外、例えば従業員等に継承するのが親族外継承です。共同創業者や経営者の信頼のおける優秀な従業員に継承します。メリットとしては、親族内承継に比べ候補者の選択肢が広がることです。また、長期間勤務している従業員であれば引継ぎが容易になり、経営の一定性・安定性も保障されてきます。社内外からも比較的受け入れられやすいのも大きなメリットになります。デメリットとしては、親族内承継以上に経営への強い意志が必要になってくる分、適任者がいない場合があります。また、対象会社に借入金がある場合、引き継ぐ経営者が、個人保証を入れるケースがあります。

M&A

外部の人材や企業へ譲渡する方法がM&Aによる事業承継になります。メリットとしては親族内や従業員などに後継者としての適任者がいない場合でも、選択肢を大きく広げることが出来ます。現経営者は会社売却の利益を獲得や経営責任からの解放が期待できます。承継相手とのシナジーも生まれ、企業成長に期待できる可能性もあります。デメリットとしては、一から承継相手を探す手間があります。従業員の雇用や買収価格といった条件を満たす相手を探すのは困難です。また、買収により経営理念や方針が変化していってしまう可能性があります。今まで、育ててきた居酒屋店が、一体性を保って経営を行うのは難しいでしょう。社内外への説明も丁寧に行っていく必要もあります。

後継者がいない、そんなときは

後継者がいない居酒屋店は廃業も視野に入れている企業もあるかもしれません。ただし、廃業には従業員の解雇も伴います。できれば、取りたくない選択肢です。後継者がいない際にはM&Aによる事業承継も検討しましょう。M&Aによる後継者探しが有効と考えられる背景をみていきましょう。

そもそも何故後継者がいないのか

後継者が見つからない企業は居酒屋店に限りません。少子高齢化の影響で、後継者が見つからない企業は増加傾向にあります。帝国データが2011年に行った「後継者問題に関する企業の実態調査」では、全体の3分の2にあたる65.4%の企業が、後継者不在と回答しています。居酒屋店の多くは中小企業です。中小企業においては、人の少ない中小企業では、特に後継者を確保することが困難と言えるでしょう。そのため、社長の高齢化は更に進んでいるとも言えます。

居酒屋業界は後継者どころか人材が足りない

居酒屋業界特有の状況として、業界全体の人材不足が挙げられます。ニュースなどで、居酒屋業界の過酷な労働環境について報じられることが度々ありました。これらは、人材不足によるものが原因の一つになっています。加えて、ブラック業界としてのイメージもついてしまい、その業界に就職したいと思う人が余計に減ってしまい、業界全体が悪循環に陥っていると言えます。ちなみに、人材不足は居酒屋業界に限らず、飲食業界全体で問題になっています。

居酒屋業界に訪れている時代の流れによる変化

2017年6月に酒税法が改正されたことにより、酒類の安売りが規制されました。大手ビールメーカーは2018年3~4月出荷分のビールを業務用中心に値上げしています。これらの業界変化は居酒屋業界に大きな影響を及ぼしました。特に格安居酒屋は値上げに踏み切ることになり、苦戦を強いられています。また、若者のアルコール離れ、宅飲みの流行といった飲酒の形にも変化が生じています。SNSの普及により、各店舗の情報を入手しやすくなり、居酒屋に個性が求められるようになりました。このような時代の逆風に吹かれている状態では後継者に求めるものもより高くなります。経験と資本力のある企業に経営を譲ることが有効な一手となるでしょう。

M&Aによる事業承継を選ぶメリット

居酒屋業界ならではのM&Aによる事業承継のメリットを紹介します。

後継者不足の解消

先に説明した通り、居酒屋業界の様な人手不足の業界では、後継者不足が課題となっています。M&Aにより経営を引き継ぐことができます。そろそろ引退したいと考えている高齢な経営者の方も従業員の雇用を守ったまま、経営を引き継ぐことができます。

お互いにシナジーが生まれ企業成長につながる

居酒屋業界においてM&Aを行うメリットというのは、人材確保だけに留まりません。地域の補完や、メニューの強化といったお互いの持つ強みを活かしあうというという事もできます。シナジーの代表的な例にスケールメリットがあります。スケールメリットは、事業の規模を拡大することによって得られる効果のことです。同じ買収側と売却側の居酒屋店で、同じ食材を取り扱っている場合、調達コストを下げられる可能性があります。調達先を統一し、発注量をあげることで卸売り業者との交渉力をあげ、ディスカウントをかけることができるのです。

これにより、経営難に苦しんでいた企業も、事業承継をすることで、継続的な成長につながる場合があります。

現金の獲得

事業を売却することになりますので、当然、現金を獲得できます。事業承継を気に引退される方であれば、獲得した現金を余暇や家族に使うことができます。企業であれば、新規事業への投資、債務の返済などに活用できます。すぐに現金が必要な際は、一つの調達手法として有効活用できるでしょう。もちろん、必要な金現金を獲得できるかは、事業価値の評価によります。事業承継の交渉の中で、買収側企業のデューデリジェンスにしっかりと備えることが大切です。売却側と買収側の双方が納得できるように、交渉しましょう。

選択と集中

経営効率をあげる手法としても事業承継は活用されています。選択と集中とは、複数の事業を展開している企業が自社のコア事業を見極め、経営資源をコア事業に集中的に投下することを指します。経営の効率化をすすめる経営戦略の一つです。居酒屋店以外にも複数事業を営む企業の場合、居酒屋事業を事業承継することで、選択と集中が進みます。居酒屋事業を売却することで現金を獲得できます。その現金で伸ばしたい別の事業への投資ができます。

居酒屋の事業承継のポイント

M&Aによる事業承継は必ずうまくいくとは限りません。時間をかけても、交渉が決裂するケースもあります。居酒屋店がM&Aによる事業承継を行う際に気を付けるべきポイントを整理していきましょう。

▼事業承継の目的を明確に

事業承継の目的は居酒屋店によって様々あります。高齢になった経営者が後継者問題を解決したいケースもあれば、色々な事業を行う経営者が選択と集中の中で居酒屋店を切り離すケースもあります。事業承継の目的がはっきりしていないと、M&Aの際の複雑な交渉をうまく進められません。具体的な検討に入る前に予め、明確にしておきましょう。

▼スムーズな検討

事業承継はタイミングも大切です。買収候補企業が現れても、売却側の準備がなかなか進まないことで、交渉が決裂するケースもあります。焦って安直な交渉をするのは避けたいところではありますが、交渉がスピーディーに進むことは推奨されます。そもそも、スケジュールをたてても、想定通りに事業承継は進まないものです。、買収側の候補企業が現れても、交渉がまとまらず、再度、候補企業探しからやり直す場合もあります。また、市場環境の変化にも注意が必要です。直近の数年、居酒屋業界は比較的堅調な推移を見せていますが、いつでも不況に転じるリスクはあります。承継が可能な際にディールを完了させるためにも、スムーズな検討ができるような準備をしましょう。

▼仲介会社の選定

経営者のネットワークで良い買い手企業を見つけるのは困難です。条件に合う企業を見つけるために、候補企業は幅広に探しておくべきです。また、M&Aを進めていくには、法務、会計、労務などの専門知識が必要です。そのため、事業承継の多くのケースで、売却側企業は仲介業者を活用します。

一方、仲介会社にも良し悪しがあるので、注意が必要です。なるべく、飲食業界のM&Aを経験したことがある会社を選択しましょう。

▼譲渡先の選定

いい取引ができるように、買収側の企業は幅広に探しましょう。いくつかの候補先が見つかったら、必ず買収側企業がどんな意図で買収を検討しているのか、確認しましょう。買収側企業が居酒屋経営のノウハウを持つかも、重要な確認事項です。運営ノウハウに欠ける企業に渡してしまっては、数年で大事な居酒屋店が倒産するリスクも高まります。早い段階で、相性が悪いと判断できれば、余計なコストをかけずに、次の候補探しに時間を割けます。交渉が決裂しては、交渉にかかった費用と時間が無駄になってしまいます。

▼企業価値の算定

企業価値の算定プロセスはいくつかあるものの、買収側の企業によって提示される価格はまちまちです。適切な企業価値を見極め、割安な企業価値で交渉をまとめないようにしましょう。事業を売却する場合に、ベースとなる価格は売却側から提示する場合も、買収側が提示する場合もあります。

どちらにしても買収側企業は買収する企業を調査し、企業価値を精査します。この企業価値の算定を含む買収する企業を監査するプロセスをデューデリジェンスと呼びます。買収側の企業は問題のある居酒屋を買収しないよう、従業員は辞めないか、簿外債務はないか、問題のある契約はないかなど、あらゆる観点から調査します。高い企業価値で、事業承継を行いたいのであれば、デューデリジェンスにはしっかりと備えましょう。事業承継の際、このデューデリジェンスのプロセスを理解せずに、準備が不十分だと、思わぬトラブルを引き起こします。損益計算書や貸借対照表など、財務のデータはもちろん、従業員の勤怠など、労務関係の情報を求められるケースもあります。この際、情報が不十分であれば、信用を失います。信用問題を理由に取引が破綻することもあります。事業売却を成功させたいのであれば、万全の体制でデューデリジェンスには臨むことが必要です。

まとめ

今回は居酒屋業界における事業承継の悩み事について解説していきました。事業承継にお悩みの方の参考になれば幸いです。ご紹介の通り、事業承継においてM&Aが一般的な手法になりつつあります。後継者問題を解決し、買収された居酒屋店の更なる成長を後押しするのであれば、買収側企業にとっても、売却側企業にとっても、メリットのある一手といえます。多角的に事業を展開する企業の選択と集中という観点でもウィンウィンな取引が実現できます。事業承継でお困りの方は、M&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

居酒屋の事業承継でお困りではないですか?
多くの中小企業で、経営者の高齢化が進展しています。高齢化した経営者の多くは、事業承継を行いたいと考えているものの、身内や従業員の中から後継者が見つからず、悩んでいます。その様な状況下で、M&Aによる事業承継が一般化してきました。事業承継は多岐に渡る業界で活用されていますが、その一つに居酒屋業界があります。
ビール会社の値上げや、個店人気の沸騰など、昨今、様々な業界の変化がみられる居酒屋業界においても、事業承継が活用されています。この記事では、M&Aを活用した居酒屋業界の事業承継についてご紹介いたします。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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