2019年8月17日 土曜日

システムインテグレーターのM&Aを実施する前に考えておきたいポイントと事例を紹介!

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

一昔前はM&Aと聞くと敵対的な例が目立ったために、あまり良くないイメージを持たれている方も少なくないのではないでしょうか。

しかし昨今では事業の承継問題の解決のためにM&Aが用いられるなど、ビジネスを前向きに進めていくための手法として、多くの経営者がM&Aを活用しています。

今回はシステムインテグレーター業界に注目して、実際にM&Aを成功させる際に必要となる要点をお届けします

 

システムインテグレーターのM&A

 

まず、システムインテグレーターのM&Aとはそもそもどのようなものでしょうか。

2つの言葉に馴染みが深い方もいらっしゃるかもしれませんが、ここでは改めてシステムインテグレーターとM&Aという2つの言葉について解説致します。

 

システムインテグレーターとは

システムの企画から設計、開発、運用、保守業務の全部、あるいは、一部を請け負う事業とし、ソフトウェア開発業の内、企画から運用保守まで一貫して携わっている事業者をシステムインテグレーターと呼びます。

System Integratorを略してSIer(エスアイアー)とも呼ばれます。

元々システムインテグレーターはアウトソーシングの一環として始まった業態です。

具体的には顧客の業務内容の分析から問題の抽出などといったコンサルティング業務、問題解決のためのシステムの企画や立案、プログラムの開発、ハードウェア・ソフトウェアの選定から導入、完成したシステムの保守・管理までを総合的に行います。

 

M&Aとは

M&Aとは「Mergers & Acquisitions」の略で、「合併と買収」という意味です。

より分かりやすく表現すると、「ビジネスの売買(買収)」、「複数のビジネスを一つに統合(合併)」するための手法がM&Aです。

狭義的なM&Aでは、複数の会社が1つになる合併、もしくはある会社が他の会社を買い取る買収といった経営統合のみを指します。

しかし広義的には提携という意味も含めて友好的なM&Aという文脈でも使われています。

 

システムインテグレーターのM&Aを行う理由は?

続いてシステムインテグレーターのM&Aが行われる理由は何でしょうか。

以下に代表的な理由をまとめたので、みていきましょう。

 

技術者の不足

人手不足で困っている会社は多々ありますが、システムインテグレーター業界でもそれは例外ではありません。

受注出来そうな案件があっても、人手不足を理由に断ったという現場の話はよく挙がってきます。

こうした状況を打破するために、M&Aを用いて優秀な人員を確保しようと動く企業は増加傾向にあります

 

統廃合が進んでいる

システムインテグレーター業界は中小零細企業が多く、多重下請構造となっています。

最下層にいる下請け企業は交渉力も弱く、苦しい思いをしているケースも目立ちます。

このような単独で成長することが難しい企業は、M&Aを活用しようと考えます。

例えば同業と資本業務提携を行ったり、大手企業の傘下に入ったりする事で、事業規模の拡大を図ろうとしています。

 

ソフトウェア投資に前向きな企業の増加

クラウドやビックデータ、IoTなどの成長が望まれる分野が増えてきています。

同時に企業のソフトウェア投資に対する考え方はポジティブになってきており、自社の技術や機能を補完しようと、M&Aの活用も増えています。

 

システムインテグレーターのM&Aを行うタイミングは?

同じシステムインテグレーターといっても、会社の状況は様々です。

「企業の業績」と「経営者の意欲」の状態別に以下の4つのパターンに分けました。

それぞれのM&Aを行うタイミングについてみていきましょう。

 

業績「良」で意欲「高」の場合

業績と意欲がどちらも良い状態なので、常識的に考えても最も売り時です。

会社は好調で経営者の士気も高いわけですから、買い手企業から見ても非常に魅力的に映ります。

しかしこの状態で売却を考える経営者がいるかというと話は別で、ほとんどいないでしょう

後継者問題等がないのであれば、会社を売却する理由が見当たらないからです。

 

業績「良」で意欲「低」の場合

実際に会社が売却されるケースで一番多いのがこの状態2ではないでしょうか。

まず業績は良いので周囲からの評価も期待ができます。

ポイントは早期に決断をして、会社の今後の進路を決める事です。

経営者が継続する意欲が低い場合は、現状の業績が良い状態をキープするのは厳しいでしょう。

事業の良い売却先を見つけて、意欲の高い経営者にバトンタッチできると社員としては安心感も高まります

 

業績「悪」で意欲「高」の場合

何とか業績を改善させたいのがこの状態3です。

売却のチャンスを伺いつつも、同時に収益性の高い事業は何か考えて一本化を目指す、他社とのアライアンスも視野に入れるなど、様々な選択肢を候補に検討すると良いです。

 

業績「悪」で意欲「低」の場合

業績も経営者の意欲も高くないのがこの状態4です。

当然ながら売却の難易度は最も高いと言えます。

でもだからと言って諦めてしまわずに売却のチャンスは探っておくべきです。

なぜなら会社の売却は結婚のお見合いと似ていて、全てはタイミングで決まる場合もあります。

全て諦めて後ろ向きに行動するよりも、積極的な売りの姿勢を貫きましょう。

自社の価値を見出してくれる、思わぬ相手に巡り合うというケースも少なくありません。

 

システムインテグレーターのM&Aを実施するのは誰か?

ここではシステムインテグレーターのM&Aを実際に行う際、どういった方が会社を売却したいと考えるのかまとめてみました。

 

①後継者不足の経営者

少子高齢化の影響はシステムインテグレーター業界の経営者にも及んでいます。

会社の経営が順調でも、身内で後継者がおらずに困っている経営者は多く、今後の会社をどうすべきか判断が求められています。

そんな際にもM&Aを用いると、会社の活路が開けてきます。

M&Aによる事業承継を考えれば社外の企業に目を向けて、会社の存続を考えられるからです

実際にM&Aを後継者不足問題の解決に活用する経営者は増えています。

 

②経営に悩んでいる経営者

業績が思うように延びずに頭を悩ませている経営者も多くいます。

自身の手腕で風向きを変えられればいいですが、思うようにいかないケースもあり、難航してしまう場合も珍しくありません。

そんな際にもM&Aは有効な手段です。

より体力や人脈のある外部の企業の経営者の力を頼れば、業績回復の道も見えてくるからです

M&Aによって救われたという経営者は多くいます。

 

③新しい事業に集中したい経営者

一つの事業に留まらず、多くのアイディアを実現させている経営者もいらっしゃるはずです。

しかし思いのままに事業を広げていると、昔に手を広げた事業を整理したいと考える時期も訪れます。

そんな際はただ事業を廃業してしまうのではなく、M&Aを賢く活用する経営者が多いです。

事業の売却が上手くいけば、まとまった資金も手に入る可能性があるので、新しい事業へ更なる投資も行えます。

 

システムインテグレーターのM&A事例

それでは実際のシステムインテグレーターのM&A事例を2つご紹介します。

 

【M&Aの事例①】

売却会社:LOGIGEAR CORPORATION

買収会社:株式会社デジタルハーツホールディングス

実施年度:2019年

 

株式会社デジタルハーツホールディングスはエンターテインメント事業を主力として、エンタープライズ事業も展開しており、システムテストサービスとシステム開発を行ってます。

一方で、LOGIGEAR CORPORATIONは独自のソフトウェアテスト自動化ツールを持っており、約500名のテスト自動化エンジニアを強みにテストサービスを提供している会社です。

株式会社デジタルハーツホールディングスはLOGIGEAR CORPORATIONを子会社化する事で、システムテスト事業の成長を飛躍的に加速させ、総合テスト・ソリューションカンパニーとして更なる成長を目指したいとしています。

 

【M&Aの事例②】

売却会社:株式会社アプシスコーポレイション

買収会社:株式会社システム ディ

実施年度:2019年

 

株式会社アプシスコーポレイションは学校業務管理システムのソフトウェア開発・販売を行っており、独自の公立小中高校向け校務支援システム「School Engine」も提供しています。

株式会社システム ディは株式会社アプシスコーポレイションの株式を取得し、子会社化することで公教育ソリューション事業の拡大ならびに収益向上を図りたいと考えました。

 

システムインテグレーターのM&Aの相談先は?

最後にシステムインテグレーターのM&Aを行う際の相談先を紹介します。

M&Aに興味を持っているものの、具体的にどう進めればいいのかさっぱり分からないという経営者の方も少なくないのではないでしょうか。

そんな時は焦らずに自分に合った相談先を見つける事から始めてみましょう。

 

専門家に相談してみよう

M&Aの相談ですが、安心してください。

心強いプロフェッショナルが存在します。

それは一般的にM&Aアドバイザリーと呼ばれており、主に以下の二種類存在します。

 

M&A仲介会社

仲介会社の名前の通り、買い手企業と売り手企業の両社の間に入ってM&Aの仲介をするのがM&A仲介会社です。

中小企業のM&Aにおいては、このM&A仲介会社が採用されるケースが多いです。

M&A仲介会社の最大の特徴としては、売り手企業と買い手企業の双方の利益を、どちらも出来る限り最大化するために行動する点です。

実務においては、企業同士のマッチングからクロージングに至るまで一貫して行います。

 

FA(ファイナンシャルアドバイザー)

FAもM&Aの専門的な知識を豊富に持った専門家です。

M&A仲介会社との違いはFAは売り手企業もしくは買い手企業のどちらかに専属で雇われ、どちらか一方の企業の利益を最大化するために動く点です。

よってFAを採用するのは上場企業同士のM&Aで目立ちます。

M&A業務を一貫してサポートしてくれる点は変わりありません。

 

M&Aアドバイザリーに相談するメリット

M&Aアドバイザリーを活用するメリットは様々です。

今回はその中でも、代表的なメリットを紹介します。

メリットを考慮して、上手にM&Aアドバイザリーを活用しましょう。

 

本業に集中できる

M&Aについて調べていると、M&Aはとても片手間で出来ることではないとすぐに気が付くのではないでしょうか。

本業務も忙しいでしょうから、それこそ一人で抱えてM&Aにも対処しようと考えたら、睡眠時間を削る、休日も返上するなどしないと厳しいでしょう。

そんなとき、M&Aアドバイザリーを活用していると、経営者の負担はぐっと減ります。

全くノータッチという訳にはいきませんが、必要最低限M&Aアドバイザリーとコミュニケーションを取れれば、経営者は本業務に集中できます。

本業務とM&Aの両立を実現するためにもM&Aアドバイザリーの存在は欠かせないと言えるでしょう。

 

M&Aに対する知識不足を補える

会計系の知識から法務まで、M&Aを行う際に必要となる専門的な知識は多岐にわたります。

経営者も本業務の知識には明るいと思いますが、M&Aの専門知識まで持ち合わせている方は少ないはずです。

そんな知識不足もM&Aアドバイザリーは補完してくれます

M&AアドバイザリーはM&Aの案件を多く取り扱ってきたその道のプロです。

必要とされる知識も熟知されている方がほとんどです。

M&Aアドバイザリーを上手く頼ってM&Aを前進させましょう。

 

自社にマッチしたM&Aの売却先を見つけやすい

M&Aを考える上で最初にぶつかるであろう山が、相手企業探しです。

運良くすぐに理想的な相手に巡り合うのは稀で、どうしたらいいか悩まれる企業も多いです。

そんな際にM&Aアドバイザリーを頼ると、理想的なマッチングに近づきます。

M&Aアドバイザリーは全国に独自のネットワークを持っており、買い手企業を売り手企業を結び付けることに長けています

悩んでいる方もM&Aアドバイザリーに相談してみると、思わぬ道が開けますよ。

 

まとめ

 

今回はシステムインテグレーターのM&Aを実施する前に、考えておきたい事をご紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

システムインテグレーターのM&Aが行われる理由から、実際にM&Aを行う際の相談先まで解説したので、M&Aに興味を持っている多くの方の参考になったかと思います。

M&Aという行為は今ではとても一般的になっているので、相談窓口も増えています。

少しでもM&Aに興味を持ったのであれば、早い段階で一度プロの専門家に話してみるといいでしょう。

きっと小さな疑問も解消され、進むべき次のステップが明確になるはずですよ。

システムインテグレーターのM&Aを実施する前に考えておきたいポイントと事例を紹介!
昨今では事業の承継問題の解決のためにM&Aが用いられるなど、ビジネスを前向きに進めていくための手法として、多くの経営者がM&Aを活用しています。
今回はシステムインテグレーター業界に注目して、実際にM&Aを成功させる際に必要となる要点をお届けします。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
2019年8月17日
システムインテグレーターの事業承継でお困りではないですか?M&A事例を紹介
WEBからお問い合わせ
当社はお客様の事を最優先で考える成果報酬型エージェントです。
匿名をご希望されるお客様には、会社情報など一切公開せずにお問い合わせ頂く事が可能です。

お問い合わせ内容

氏名

電話番号

メールアドレス

メールアドレス(確認)

業種

会社名

お問い合わせ内容