2018年12月1日 土曜日

ラーメン屋のM&Aを実施する前に考えておきたいこと

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

「ラーメン屋の後継者が見つからないので、店を手放したいけれど、お客様や従業員に申し訳ない」

そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ラーメン屋の後継者不在や、店舗拡大・経営の立て直しなどには、実はM&Aが有効です。

M&Aについて詳しくない方も、M&Aのどんな点がラーメン屋の経営に役に立つのかは押さえておいた方がよいでしょう。

 

この記事では、ラーメン屋のM&Aについて、そもそもM&Aとは何か、ラーメン屋がM&Aを行う理由、M&Aを行うタイミング、M&Aを実施するのは誰か、M&Aの相談先を選ぶポイントについて解説します。

 

ラーメン屋のM&A

そもそも「M&A」とは、企業の合併・買収を総称する用語のことです。

「合併」とは複数の会社が1つになること、「買収」とはある会社が別の会社の株式を買い取ることです。

広義の意味として、M&Aに事業譲渡や資本・業務提携まで含める場合もあります。

 

「事業譲渡」とは、ある会社が自社の事業を、第三者に有償で譲渡(売却)することです。

事業の全て、または採算が取れない一部の事業のみ譲渡するなど、譲渡する事業の範囲を選択できます。

「業務提携」とは、資本の移動を行わずに、特定の分野に限定して、複数の企業が共同で事業を行うことです。「資本提携」は、資本参加を伴う業務提携のことです。

資本・業務提携を受ければ、事業・店舗の拡大や財務面での支援、商品の共同開発など、他社の経営資源を活用することができます。

 

M&Aというと、会社を丸ごと手放してしまうイメージがあると思いますが、実際には、事業譲渡や資本・業務提携など、事業の一部のみ譲渡したり、他社と共同で事業を行うことで他社の資源を活用するという方法もあるのです。

ラーメン業界は参入障壁が比較的低いため、店を出す人はたくさんいます。

しかし、近年は人口減少によって顧客が減りつつあるため競争は激化し、廃業する店舗も多数あります。

そんな中、業績が良い企業は、M&Aを行うことで店舗数を着実に増やしているのです。

 

ラーメン屋のM&Aを行う理由は?

ラーメン屋がM&Aを行う理由は、下記の4つになります。

 

  • 後継者の不在
  • 事業拡大、店舗拡大
  • 現金の獲得
  • 経営の立て直し

 

1つ1つ解説していきます。

 

後継者の不在

多くのラーメン屋では、後継者の不在という問題を抱えています。

ラーメン屋を続けるには体力が必要です。

年齢を重ねて、体力・気力面で衰えを感じてきた方もいらっしゃるでしょう。

自分で経営するのは限界だけど、子供がいないか、いても既に自分の人生を歩んでいて、後を継ぐ気がないような場合です。

 

ラーメン屋は単に相続すればよいのではなく、できれば店の味や伝統まで引き継いでほしいものです。

加えて、後継者は経営者としての素質や、経営知識・ノウハウなども持っている必要があります。

後継者がいないためにラーメン屋を廃業する事例も多く、創業者が長年こだわってきた店の理念や経営方針、技術やノウハウなどが途絶えてしまうのは社会的にも大きな損失です。

 

M&Aを行えば、ラーメン屋の経営に精通した買い手を探して店を引き継いでもらうことができ、顧客の期待を裏切ることなく、従業員の雇用もそのまま確保でき、技術やノウハウも継承されます。

 

事業拡大、店舗拡大

事業や店舗の拡大は、資金の借り入れが必要なこともあって、個人事業主にはハードルが高いです。

加えて、最近では飲食業界における人手不足のため、従業員の確保も難しい状況があります。

実は、事業や店舗の拡大には、M&Aの一種である資本・業務提携がおすすめです。

例えば、多角化経営を考える他業種と資本・業務提携を行うことで、他社の資金力を活用して事業や店舗を拡大することも可能となるからです。

 

現金の獲得

事情があってすぐに現金が欲しい場合は、M&Aを行って会社や事業の一部を売却するという選択肢もあります。

売却することで、その店舗が将来的に生み出す利益として、まとまった額の現金を先取りして得ることができます。

新しい店舗の資金や経営資金、借金返済や生活資金など、現金があれば様々な用途に充てることができます。

そろそろ経営から身を引いてハッピーリタイアを考えている人には、現金の獲得は何より嬉しいメリットです。

 

経営の立て直し

経営を立て直したいけれど資金不足で悩んでいる場合は、資本・業務提携を実施すれば、提携先から資本の提供を受けることができます。

資本金が増加すれば、財務内容の改善やコスト削減、売上アップなどを図ることができ、さらには、企業の与信補完から、取引先の増加や契約条件の見直しに貢献できることもあります。

 

ラーメン屋のM&Aを行うタイミングは?

ここまで、ラーメン屋がM&Aを行う理由を見てきました。

では、実際にラーメン屋がM&Aを行うべきタイミングはいつが最適なのでしょうか。

タイミングを選ぶ上で留意すべきポイントは、以下の3つです。

 

限界が訪れる前に

例えば、経営者が最近体調がすぐれないと思っていたところ、突然急激に健康状態が悪化して、ラーメン屋を続けるのが難しくなることがあります。

この場合、体調がおかしいと思った段階で、もし自分に何か起きたらラーメン屋はどうするのか、M&Aという手段も含めてある程度考えておいた方がよいでしょう。

限界が訪れるというのは、経営者の健康問題以外にも、経営難や業績悪化などがあります。

 

M&Aを行うなら、たとえ経営難であっても業績が少しでも良いうちに売りたいものです。

業績が限界まで落ち込んでしまってからM&Aを考えても、買い手が見つからないか、二束三文でしか売れないという可能性があります。

大事な決断は、限界が訪れる前に行うようにしましょう。

 

準備は早めに

M&Aは、比較的時間がかかる手法です。

特に時間がかかるのが、売り手と買い手のマッチングです。

後継者がいない場合、自店が単に存続するだけではなく、店の理念や経営方針なども受け継いでほしいと望むなら、そうしたニーズに合う買い手を見つけるのには時間を要します。

さらに、売りたいタイミングで適切な買い手が見つかるか、というのも難しい問題です。

実際には、売りたくてもなかなか買い手が見つからないこともあります。

 

買い手候補が見つかった後も、売り手の財務状況や労務・法務面での問題などの経営実態を公開し、希望価格が適正か査定・検証し、何度も交渉が行われるなど時間がかかります。

そのため、最低でも6ヶ月程度はかかります。

3年前から準備をするという人もいるほどです。

 

また、予実管理や月次決算、原価計算などの細かい資料が必要になるため、その時になってバタバタしないよう、最低でも決算書や試算表をすぐ出せるように、お金の流れを把握して整備しておくことが必要になります。

マッチングや交渉、資料の準備などに時間がかかるため、M&Aを考えているなら早めの行動が必要です。

 

事業価値の高いタイミングで

事業や店舗を少しでも高く売るためには、事業価値が高いタイミングでM&Aを実施することが重要です。

そのためにはM&Aの前に、業績を上げたり、不要な不動産を売却したり、その利益で借り入れを返済したりなど、現状での利益率を上げて財務内容を健全にしておくことが必要です。

 

それ以外にも、社会全体の流れを常に観察し、ラーメンブームが起こりそうな時にすかさずM&Aを実施したいものです。

自店でなくても、似たようなラインナップのラーメン屋が注目を浴びている時なら、便乗して良い影響を受ける可能性もあります。

 

ラーメン屋のM&Aを実施するのは誰か?

ここまで、ラーメン屋がM&Aを行うべきタイミングを見てきました。

では、実際にラーメン屋のM&Aを実施するのは誰になるのでしょうか。

 

本来はオーナー本人が行うものですが、何から始めればよいのか、M&Aの方法が全く分からないといった方も多いでしょう。

M&Aは結婚に例えられることが多いですが、お見合い相手を探すには、まずは自分の釣り書を作らなければなりません。

これにあたる作業が、様々な資料を収集して自店の価値を正確に評価することですが、専門家でなければなかなか難しいものがあります。

そのため、専門家であるM&Aのアドバイザーに相談することをおすすめします。

M&Aアドバイザーは、買い手探し、事業や会社の価値評価、条件交渉など、M&Aに必要な全ての業務をサポートしてくれる専門家です。

 

ラーメン屋のM&Aの相談先は?

M&Aアドバイザリーを選ぶポイントとして、下記の3つを念頭に置くとよいでしょう。

 

ラーメン業界に詳しいこと

一口にM&Aアドバイザーといっても、どんな業界に精通しているかはそれぞれのアドバイザーで異なります。

ラーメン屋のM&Aを相談するなら、飲食業界や外食業界に詳しいアドバイザーを探すのがよいでしょう。

飲食・外食業界は、活発なM&Aや事業譲渡によって多店舗展開や規模の拡大を行い、業界再編が進んでいます。

そうした飲食業界ならではの背景も、業界に詳しいアドバイザーなら教えてもらうことができます。

 

事業価値の最大化ができること

事業や店舗を高く売るためには、事業価値をできるだけ高めたいところです。

しかし、実際に事業価値が高かったとしても、それが売り手に伝わらなければ意味がありません。

自店の将来性を示したいのであれば、ラーメン業界のこれまでの流れや現在のトレンド、今後の変化予測などを数値で提示する必要があります。

また、自店の立地の価値、ライバル店が近くに存在しないこと、地域の人口予測や発展予定などのデータも必要です。

こういった資料を自分で用意するのは難しいですが、専門家であるM&Aアドバイザーに相談すれば、自店の事業価値が高いことが相手に伝わるように、根拠となるデータを示してくれます。

加えて、売却時点で事業価値を最大化できるよう、利益率を上げたり財務面を健全にしたりするための適切なアドバイスをもらうこともできます。

 

成果報酬型がおすすめ

M&Aアドバイザーにおいては、2000年代は着手金を取るのが主流でしたが、最近は着手金を取らない成果報酬型が増えてきています。

M&Aの着手金とは、買い手先を探すための調査や、企業価値の算定にかかる費用という位置づけになっています。

相場は、50万円〜200万円程度といわれていて、アドバイザリー契約の依頼時に、先払いで支払うことが多いようです。

また、着手金の他にも、月額報酬や中間成功報酬金などを請求する会社もあるようです。

しかし、成果報酬型なら、M&Aが成功するまでアドバイザリー報酬は発生せず、それまでの相談は無料のため、安心して相談することができます。

 

まとめ

ラーメン屋のM&Aを考えているなら、早め早めの行動が必要です。

もっと詳しいことが知りたい、実際にM&Aを行うかはまだ迷っているという方は、まずはM&Aアドバイザーに相談してみるのがよいでしょう。

M&Aを考えている目的や自店の基本的な情報、希望する買い手の条件などをまとめておくと、自分の考えも整理できて相談もスムーズです。

M&Aを行うかどうか悩んでいる段階でも、最近ではインターネットで気軽に相談できるので、活用してみてはいかがでしょうか。

ラーメン屋のM&Aを実施する前に考えておきたいこと
「ラーメン屋の後継者が見つからないので、店を手放したいけれど、お客様や従業員に申し訳ない」
そんな悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ラーメン屋の後継者不在や、店舗拡大・経営の立て直しなどには、実はM&Aが有効です。
M&Aについて詳しくない方も、M&Aのどんな点がラーメン屋の経営に役に立つのかは押さえておいた方がよいでしょう。
この記事では、ラーメン屋のM&Aについて、そもそもM&Aとは何か、ラーメン屋がM&Aを行う理由、M&Aを行うタイミング、M&Aを実施するのは誰か、M&Aの相談先を選ぶポイントについて解説します。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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