2019年5月31日 金曜日

建設業の事業承継でお困りではないですか?

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

近年、建設業での企業の休業・廃業・解散が増加しています。

企業が廃業した場合、「経営が悪化していたのだろう」と考えがちですが、後継者を確保できないことが原因で廃業を検討する企業が多くなっています。

他にも、企業の先行きを不安に思い廃業するといったケースも増えており、このような理由で黒字の企業が廃業することは経営者や取引相手の企業にとってデメリットになってしまうため、できるだけ避けたいものです。

後継者問題を解決するために、今までのように経営者の身内や社員から後継者を選ぶのではなく、「M&Aで事業を承継する」ということも選択肢のひとつです。

 

建設業を事業承継しよう

現在、後継者不足に悩まされている中小企業は数多く存在しています。

1995年当時、経営者の年齢は47歳前後が多かったのですが、2015年では66歳前後にまで高齢化しました。これは、1995年から2015年の20年間で、中小企業の経営者がほとんど代替わりしていないことを示しています。

また、企業の倒産件数は減少傾向にあるものの、休業・廃業・解散の件数は年々増加しています。後継者を見つけることができないまま経営者が高齢になり、廃業に追い込まれる企業が増加しているのです。

企業の倒産と廃業を比較すると、倒産した場合の方が経営者や従業員の受ける負担が多くなります。そのため、中小企業の経営者は倒産せざるを得なくなる前に、経営状態に余裕がある状態でも企業を廃業するようになったのです。

建設業界全体で見ると、休業・廃業・解散の件数はリーマンショックからおよそ10年もの間、減少することなく高止まりを続けています。さらに、2015年から2018年の3年間では増加傾向にあります。

これまでは、2008年に発生したリーマンショックや民主党政権下における公共投資の大幅削減の影響で2010年の約8300件が最多の件数でしたが、2018年には約9000件もの企業が休業・廃業・解散に追い込まれ、過去のピークを上回ってしまいました。

経営者の高齢化は今後も進むため、休業・廃業・解散に追い込まれる企業は今後も増加していくと考えられます。業種別にみてみると、休業・廃業・解散の件数は木造建築工事業が最も多く、次いで建築工事業、土木工事業となっています。

業績が悪化しておらず、存続の見込みがある企業の廃業はできる限り避けたいところです。企業を引き継げず廃業にすることは、経営者だけでなく、「ステークホルダー」と呼ばれる周囲の利害関係者にとってもデメリットになります。

廃業を検討している企業のうち、約6割の企業は売上高経常利益率において黒字ですし、債務超過に陥っている企業は2割にも満ちません。廃業を検討する理由として最も多いのは「業績の悪化」ですが、2番目に多いのが「後継者を確保できない」ことになります。

また、3番目に多い理由として「会社に将来性がない」というものもあります。

現在、2020年の東京オリンピックに向けて建設業全体の景気が好調となっていますが、オリンピック以降は現在の好調が維持できるかどうか分からないことが原因だと思われます。

 

後継者がいない、そんなときは

前章で挙げた廃業を検討する理由の中で2番目に多い「後継者を確保できない」という問題ですが、M&Aをうまく活用することができれば解決することができます。

これまでの中小企業における事業承継は、経営者の身内である息子や娘から後継者が選ばれることが多く、息子や娘が継がない場合は社員や知り合いの中から後継者を選ぶというものでした。

ですが、近年では出生率の低下に伴い経営者の子供から後継者を選ぶことが難しくなっているうえ、業績の悪化による資金不足や将来性のなさにより、社員や経営者の知り合いから後継者を選ぶことも難しくなっています。

そこで、M&Aを活用した事業承継を視野に入れることで後継者の選択肢を増やすことができます。資金力や経営力が信頼でき、自分の建設会社に興味を持っている法人、または個人の中から後継者を選び、事業を承継してもらえばよいのです。

 

M&Aによる事業承継を選ぶメリット

廃業を選択せずM&Aによる事業承継を行うことで、多くのメリットを得ることができます。そのうちいくつかを選んで解説していきます。

 

経営における負担からの解放

企業の経営をするにあたって、経営者は知力・体力・気力のすべての面で高いエネルギーが必要になります。

主に、

・刻々と変化するビジネスのトレンドを常に学習し、この先の社会を予測し続ける知力

・必要に応じて長時間の作業を行うための体力

・利害関係で結ばれている多くの従業員をまとめ、取引先と根気よく交渉するための気力

が必要となります。

経営者が高齢になったり、病気になったりすることで、知力・体力・気力が低下し経営を行うことができなくなってしまいます。

M&Aによって事業承継を行う、もしくは若い後継者に引き継ぐことでこれらの負担から解放されます。

 

現金の獲得

事業承継において、身内に後継者となってもらうことは相続の一形態であると考えられますが、M&Aによって事業承継を行えば、事業売却といった形で現金を獲得できる可能性があります。

事業の経営状態にもよりますが、ビジネスモデル、顧客を含めた事業全体が評価され、廃業する場合と比較してより多くの現金を獲得することができるのです。

 

従業員の雇用の継続、待遇改善

M&Aによって事業承継を行う際、従業員の処遇を条件にすることができます。廃業する場合、従業員は全員解雇されることになり、各自が次の就職先を探す必要があります。

これに比べ、事業承継で従業員の雇用を継続させることができれば、多くの従業員を助けることになります。そして、後継者の経営が適切であれば従業員の待遇が改善される可能性もあります。

 

建設業の事業承継のポイント

建設業の事業承継を成功させるにあたって、大切なポイントを紹介します。

 

従業員の数とスキル

2020年に開催される東京オリンピックや、東日本大震災などの災害からの復興による需要の増加によって、建設業界全体で人手不足が深刻になっています。

就業者の年齢構成も、55歳以上が約34%、29歳以下が約11%と大きく偏ってしまっています。高齢になった就業者が今後大量に退職することが見込まれており、人材採用は建設業の大きな課題になっています。

買い手側の企業がM&Aで事業買収を行う目的のひとつに、多くの人材を一度に確保することが挙げられます。このとき買い手側の企業が気にする点は、従業員の資格や経験です。

1級土木施工管理技士、1級建築施工管理技士が多く在籍している企業であるほど買収されやすくなるでしょう。

 

対象地域における建設需要

企業が対象にしている地域において、今後どの程度の建設需要が見込めるかを把握しておくことはとても重要です。

今後の建設需要は、被災地におけるインフラ整備・防災設備といった震災復興の工事と、被災地以外での老朽化したビルや公共施設の建て替え工事の増加が見込まれます。

その一方で、建設業全体での工事量はあまり増えておらず、受注競争が激化することが予想されています。

このことから、海外受注の拡大を検討している企業も多くなっていますが、リスク管理体制の強化、交渉や契約プロセスの構築など、海外進出への課題は少なくないのが現状です。

 

交渉の条件を明確にする

M&Aの交渉を行う前に、事業承継の目的や譲れない条件があれば明確にしておきましょう。買い手側との交渉の中で、何をどれだけ譲歩することができるのかを明確にすることができます。

従業員の雇用を継続してもらうことを優先するのか、売却による利益を優先するのか、その場合最低でもいくら欲しいのか。これらを明確にしておくことで、交渉が難航した場合でも本来の目的を忘れにくくなります。

 

企業の強みを知る

交渉を有利に進めるにあたって、企業の強みを知っておく必要があります。

自社の強みは得意分野なのか、従業員の数とスキルなのか、大口の顧客なのかを明確にしておきましょう。

M&Aの交渉を行うまでに準備期間を設けて、強みを伸ばすことも大切です。強みがある企業は需要が高くなります。

 

準備はできるだけ早く

企業の経営状態が悪化していた場合や、赤字経営、債務超過に陥っている場合には、企業を欲しがる買い手は少なくなってしまいます。

買い手が現れたとしても交渉において有利な条件を引き出せなかったり、満足のいく金額で売却できなかったりします。納得できる事業承継を行うためにも、企業の経営をできるだけ立て直しておく必要があります。

このことを考えると、事業承継を行うまでに、2年から3年ほどかかると考えておくべきでしょう交渉の途中で事業承継が反故になった場合、再び事業承継の交渉を最初から行う必要があります。

その間に経営者の体調が悪化するなど、企業の存続が怪しくなってしまうと、不利な条件で交渉を成立させる他なくなる場合もあります。このような事態を避けるためにも、できるだけ準備は早めに行なっておく必要があります。

事業承継の準備を早く行うべき理由はもうひとつあります。

これまでの建設業界ではM&Aが行われることは少なく、M&Aに馴染まない業界だと思われていました。しかし、東京オリンピックに関連する建設需要や、東日本大震災による復興需要によって、建設業界全体は右肩上がりの状態になっています。

一方で、バブル崩壊後に採用人数を少なくしていた影響で専門職が不足していること、また、「きつい仕事」というイメージが定着しているため若者の採用が難しくなっていることから、大手や中堅の建設会社による人材の確保や事業の拡大を目的としたM&Aが活発になってきています。

M&Aによる事業売却の需要は増加傾向にありますが、こうした動きが東京オリンピック終了以降も続くとは限りません。景気の悪化や需要の減少などの影響を受けて、いずれ建設業界は右肩下がりになっていく可能性が高いでしょう。

M&Aの需要が高い現状を活用するためにも、できるだけ早く準備を行なったほうがよいと言えます。

 

経営者、後継者、従業員、全員にとってよい条件で承継する

M&Aでの事業承継において、交渉を行うのは「売り手である経営者」と「買い手である後継者」です。

そのため経営者と後継者の条件だけが重視される傾向にありますが、事業承継の影響を大きく受ける従業員の条件を考えることも重要になります。

交渉に参加することができない従業員の立場を保証できるのは経営者だけであることを自覚し、全員が納得できる条件での事業継承を行えるようにしましょう。

 

専門家の助けを借りる

M&Aによる事業承継は、長い時間のかかる交渉が必要になります。交渉にあたっては、売却する企業の価値の算出などのように、専門家の助けが必要になる作業も多く存在しています。

交渉を行なっている最中でも普段どおりに経営を行う場合、経営者が一人で交渉を進めることは難しいでしょう。

そこで、現在ではM&Aによる事業承継を様々な専門家がサポートする体制が存在します。その中でも、「M&A仲介会社」を利用するのがおすすめです。

M&A仲介会社を利用すれば、仲介会社が条件に合う買い手企業をリストアップしてくれるので、その中から交渉相手を選ぶことができます。また、交渉のスケジュールや企業価値の算出でもサポートを受けることが可能になります。

M&A仲介会社はM&Aによる事業承継をワンステップで受け付けています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまで、建設業のM&Aによる事業承継について解説してきました。

現在の経営に特に問題を感じておらず、すぐに事業承継をするつもりがない場合でも、2年後、3年後の自分と建設業のことを考え、一度検討してみてはいかがでしょうか。

M&Aについて漠然とした不安がある、本当に事業承継ができるのか不安だ、という方は、ぜひ一度M&A仲介会社などの専門家に相談してみることをおすすめします。

建設業の事業承継でお困りではないですか?
近年、建設業での企業の休業・廃業・解散が増加しています。
企業が廃業した場合、「経営が悪化していたのだろう」と考えがちですが、後継者を確保できないことが原因で廃業を検討する企業が多くなっています。
他にも、企業の先行きを不安に思い廃業するといったケースも増えており、このような理由で黒字の企業が廃業することは経営者や取引相手の企業にとってデメリットになってしまうため、できるだけ避けたいものです。
後継者問題を解決するために、今までのように経営者の身内や社員から後継者を選ぶのではなく、「M&Aで事業を承継する」ということも選択肢のひとつです。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
2019年5月31日
事業譲渡の事例から読み解く潮流《建設業》
2019年5月31日
事業売却の事例から読み解く潮流《建設業》
WEBからお問い合わせ
当社はお客様の事を最優先で考える成果報酬型エージェントです。
匿名をご希望されるお客様には、会社情報など一切公開せずにお問い合わせ頂く事が可能です。

お問い合わせ内容

氏名

電話番号

メールアドレス

メールアドレス(確認)

業種

お問い合わせ内容