2019年8月10日 土曜日

マンション管理の事業承継でお困りではないですか?事例を紹介

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

マンション管理の事業承継を検討しているけれど、どのように進めたら良いか分からない、ということはありませんか。

マンション管理会社の企業形態は、デベロッパー系と独立系の2種類あるため、まずは自社がどちらに当てはまるか確認しましょう。

売主である大手デベロッパーのグループ企業は「デベロッパー系」管理会社、マンションやビルの管理を専門業務とする企業は「独立系」のマンション管理会社です。それを踏まえた上で、事業承継について考えていきましょう。

この記事では、「マンション管理業界のM&Aの現状」「後継者不在の解決策」「M&Aによる事業承継を選ぶメリット」「マンション管理の事業承継のポイント・事例」について詳しくご紹介します。

 

マンション管理を事業承継しよう

ここでは、「事業承継の基本情報」「M&Aを活用した事業承継」「マンション管理業界のM&Aの現状」についてご紹介します。

M&Aを活用した事業承継には3つの種類があるため、現在の経営状態や事業承継の目的に適した方法を選択することをおすすめします。

 

事業承継とは

事業承継とは、信頼できる後継者に会社を引き継ぐことを指します。事業承継の方法は3つあります。

 

①「親族内承継」

親族内承継とは、経営者の子供や兄弟に会社を引き継ぎ継ぐことを指します。

早い時期から後継者が決定するため、時間をかけて教育してから事業承継を行うことができます。

また、現経営者の親族ということから、周囲の人間に受け入れてもらいやすい傾向があります。

 

②「親族外承継」

親族外承継とは、親族以外、即ち、優秀な従業員や役員に事業承継を行うことを指します。

自社で働いている人物に事業承継するため、経営のための必要な知識やノウハウが既に備わっている点がメリットでしょう。

しかし、企業を買い取る際には莫大な資金が必要です。そのため、後継者候補が事業承継を引き受けてくれない可能性もあります。

 

③「M&Aを活用した事業承継」

親族・自社内どちらにも事業承継に適当な人物がいない場合に、M&Aを活用して事業承継を行います。

 

M&Aを活用した事業承継とは

M&Aとは、企業間で合併(Mergers)と買収(Acquisition)を行うことを指します。

M&Aによって、ある企業の経営権が別の企業に移転や譲渡されます。資本提携や業務提携のみの場合もM&Aに入ります。

M&Aを活用した事業承継の方法は、3種類あります。

 

①「株式譲渡」

株式譲渡とは、現経営者の持っている株式をそのまま買い取ってもらう方法です。この方法は、売却側が買収側の子会社になることを意味します。

とはいえ、会社の所有者が変わるのみで、承継された会社の賃貸借契約や取引先との契約などには変更はありません。

M&Aを活用した事業承継の中でも、最もシンプルな方法と言えます。

また、前経営者は、株式売却によって多額の現金を得ることができます。さらに、株式譲渡は、売却利益の20%の所得税しかかかりません。

 

②「事業譲渡」

事業譲渡とは、会社の一部のみを他社に渡す方法です。この方法は、中小企業が活用するケースが比較的多く見られます。

会社全体のM&Aはうまくいかなくても、業績の良い事業分のみを従業員や取引先などと一緒に譲渡することによって、M&A成立に繋がることも少なくありません。

事業譲渡の場合は、代金の支払いは前経営者ではなく旧会社となるため、経営者自身が利益を得るためには、配当という手段をとります。

企業の全てを引き継ぐ株式譲渡と比較して、一部事業を引き継ぐ事業譲渡は、手続きが煩雑というマイナス面もあります。

 

③「会社分割」

会社分割とは、言葉通り、1つの会社を2つ以上の会社に分割する方法です。これには「吸収分割」と「新設分割」という2つの手段があります。

吸収分割は、買収側に事業の一部、あるいは全てを吸収されます。一方、新設分割は、買収先が新しく設立する企業の1事業となります。

業績の良い事業のみを分割して別会社とし、その株式のみを他の会社に売却します。業績の悪い事業は別会社にして清算(廃業)してしまうことも可能です。

会社分割は、税負担が軽いものの、事業譲渡よりも手続きが煩雑というマイナス面もあります。

 

マンション管理の事業継承増加の理由

実は、マンション管理業界におけるM&Aは過去から活発に行われています。以前は、不動産市場の浮沈によって経営不振に陥ったデベロッパーがマンション管理会社を手放すケースがほとんどでした。

しかし、最近では、マンション管理業界のオーナー全体の高齢化が進み、事業承継のために会社売却に踏み切るケースが増加しています

マンション業界は、現在、受託管理戸数5000戸未満の小規模会社が過半数を占めています。今後、価格・サービス面での競争激化が予想され、コンプライアンス対応などの課題にも直面するでしょう。

したがって、中小規模のマンションの経営環境は厳しくなり、M&Aを活用して大手の傘下に入るケースも増加することが考えられます。   

 

マンション管理の事業承継は、なぜ今が狙い目か

上記の通り、マンション管理業界の競争の激化とともに経営者の高齢化も進んでいることから、後継者不在を理由としたM&Aが増加しています。

一方で、大手マンション管理会社にとって、新規営業によって新たに受託物件を獲得することは困難です。そんな中で、中小事業者を買収することによる管理戸数の一括獲得は、重要な経営戦略の1つになり得ます

従って、実際に多くの大手マンション管理会社が、買収による規模の拡大に積極的な姿勢を打ち出しています。

そのため、買い手・売り手双方のニーズが合致し、マンション管理会社のM&Aのさらなる活発化が予想されます。

 

後継者がいない、そんなときは

後継者不足は、少子化や事業の将来性、親族承継への不安など、さまざまな原因があげられます。また、後継者不足による対策の遅れも問題となっています。「後継者がいない」という場合は、早めに対策をとりましょう。

事業承継の準備期間は、後継者の育成を含めると、5~10年は要するといわれています。

そこで、M&Aの専門家に相談することをおすすめします

M&Aの相談先に適しているのは、「FA(フィナンシャルアドバイザリー)」あるいは「M&Aの仲介業者」です。

それぞれ特徴が異なるため、まずは自身の優先事項を把握することが重要です。

 

・FA

FAは、M&Aにおける計画立案からクロージングまで、一連のアドバイザリー(助言業務)を行います。

契約先の利益の最大化を目的とし、売り手・買い手問わず手数料は契約した側のみに請求します。

自社のためだけにM&Aのアドバイザリーを専門に行ってくれる点が特徴です。

ただし、買い手と売り手双方がお互いの利益を主張し合うことによって、成約まで時間がかかってしまうこともあります。

中小企業の場合は、経営者と株主が同一であることが多いため、M&A仲介業者に依頼するケースが一般的です。

 

・M&A仲介業者

M&A仲介業者は、売り手と買い手の間に入って、中立的な立場で双方の条件をすり合わせて成約に導きます。

仲介先とも仲介の契約を結んでいるため、M&A成約後は、双方から手数料を請求します。

M&Aがより迅速に成約できる可能性が高い点が特徴です。

より大きな利益より、早急にM&Aの相手を見つけることを優先事項としている場合は、「M&A仲介業者」が適しています。

一方、経営戦略としてM&Aを検討している場合は、綿密なアドバイザリーを行ってくれるFAに相談する方が良いでしょう。

 

M&Aによる事業承継を選ぶメリット

ここでは、M&Aによる事業承継を選ぶメリットを3つご紹介します。

 

幅広い選択肢から後継者を探せる

M&Aを活用すると、全国の大小さまざまな企業の中から買い手候補の企業を探すことができます。経営者の親族や従業員に適任となる人材がいなくても、全国規模で探せば後継者に相応しい企業が見つかる可能性が高くなります。

身近に候補者が見つからないからといって、自力で後継者候補を見つけるのは困難です。

しかし、M&Aに特化した相談相手に依頼することによって、全国の幅広いネットワークの中から後継者探しのサポートをしてもらうことができます。

 

会社売却によって創業者利潤を獲得できる

後継者不足を理由に廃業する、という選択肢もあります。とはいえ、廃業となると、今まで培ったノウハウを失ってしまうことに加え、税務処理の依頼費用や備品の処分費用などの莫大な費用がかかってしまいます。

しかし、M&Aを活用して事業継承をすれば、費用がかからないだけでなく、会社の売却によって多額の資金を得ることができます

得た資金は、借入金の返済や老後の資金、新規事業の立ち上げに充てても良いでしょう。

 

事業の継続・発展を期待できる

事業を廃業にしてしまうと、多方面に迷惑をかけることになります。

マンションであれば、住人が住む場所を失ってしまう可能性があります。また、立ち退き料なども支払わなければならない場合もあります。

しかし、M&Aを活用して事業承継をすると、マンションの管理を引き継いでもらうことができ、大手マンション管理会社の傘下に入れば、今後の発展が期待できます。

マンション管理に限らず、事業を営んでいると、経営者の決断は周囲の人たちの生活環境に大きな影響を与えるため、慎重に計画を立てましょう。

 

マンション管理の事業承継のポイント

ここでは、マンション管理の事業承継のポイントを3つご紹介します。

 

相場

マンション管理会社を売却したい場合は、まず自社の持つ戸数から売却価格の目安を計算する必要があります。

最近のマンション管理会社のM&Aの動向や事例を元に単純計算すると、1戸数あたり7~9万円代が相場です。自身のマンションがどのくらいの価値か予め確認しておきましょう。

 

タイミング

マンション管理会社の経営者がM&Aを検討するタイミングとして多いのは、「コンプライアンス違反」「社員の退職」「管理や委託業務の縮小」です。

従って、将来、従業員や会社を残したい場合は、「高く売れる」「買い手候補が多い」などの会社が好調のときに売却を検討すると良いでしょう。

 

マンションの状況

マンション管理会社を事業承継する際は、「金額よりもマンションの質が重視されている」「業者の数が多い」「競争率が激しい」これら3つのポイントが重視されます。

従って、売り手は自社が管理しているマンションの状況を可能な限り質の良いものにしておきましょう。その方が、効率的なM&Aを行うことができます。

 

マンション管理の事業承継事例

ここでは、マンション管理の事業承継の事例を2つご紹介します。

 

2015年12月 「伊藤忠アーバンコミュニティが大阪ガスコミュニティライフを買収」した事例

買い手の伊藤忠アーバンコミュニティは、マンション管理事業やビルマネジメント事業を展開する企業です。

一方、売り手の大阪ガスコミュニティライフは、西日本でマンション管理事業やビルマネジメント事業を展開する企業です。

伊藤忠アーバンコミュニティは、今回の買収で、マンション313棟約32,000戸とビル・施設管理195棟を取得しました。

その結果、約マンション管理11万戸、ビル・施設管理450棟を行うグループとなりました。

 

2015年4月 「長谷工が総合地所を子会社化」した事例

長谷工コーポレーションが、M&Aによって総合地所を子会社化した事例です。

長谷工コーポレーションとその子会社である不二建設が、総合地所の全株式を取得しました。

総合地所グループは、首都圏、近畿圏のマンション分譲の64千戸を供給し、賃貸管理業、マンション管理等を行ってきた企業です。

今回のM&Aによって、長谷工コーポレーションは、高い相乗効果を期待しています。

 

まとめ

この記事では、マンション管理の事業承継に役立つ情報をご紹介しました。

事業承継を検討しているなら、ぜひ1度自身のマンションの管理状態を見直してみて下さい。立地はもちろんですが、防犯対策や衛生面などのマンションの質も確認する必要があります。

また、M&Aを活用した事業承継を行う際は、従業員や住民の方から、反対意見が上がることや、経営不振を不安視される場合があるため、信頼のできる専門家と秘密厳守で進める必要があります。

まずは、自身のマンション管理を今後どのようにしたいかを、FAまたはM&A仲介業者に相談してみましょう。

マンション管理の事業承継でお困りではないですか?事例を紹介
マンション管理の事業承継を検討しているけれど、どのように進めたら良いか分からないとお悩みではないでしょうか。本稿では「マンション管理業界のM&Aの現状」「後継者不在の解決策」「M&Aによる事業承継を選ぶメリット」「マンション管理の事業承継のポイント・事例」について詳しくご紹介します。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
2019年8月10日
マンション管理のM&Aを実施する前に考えておきたいこと。事例を紹介
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