2019年3月6日 水曜日

焼肉屋の事業譲渡を検討する際のチェック項目

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

事業の見直しをしたいと考えている経営者の方は多いです。
経営を改善させて会社の成長を継続させるためには、時には難しい判断に迫られる場合もあります。特に競争の激しい外食産業ではM&Aを活用した動向も多く、それは焼肉屋業界も例外ではありません。

飲食業の中でも好調とみられている焼肉業界ですが、人手不足といった深刻なリスクも抱えています。今後の環境変化に対応すべく、事業譲渡を考える企業も多くいます。
会社や事業を売却すると聞くと、一昔前はマイナスなイメージがありましたが、近年では経営を前向きに考える手段として、多くの経営者からの支持を得ています。

今回はそんなM&Aの中でも、焼肉屋業界の事業譲渡に注目します。事業譲渡の基本からチェック項目までご紹介するので、是非参考にしてみて下さい。

 

焼肉屋の事業譲渡を検討してみては?


早速ですが、事業譲渡とは具体的にどういった手法なのでしょうか。まずは焼肉屋業界の現状を押さえた上で、事業譲渡の概要と実際の流れをみていきましょう。

 

焼肉屋業界の現状

焼肉屋をはじめとした外食産業の経営は決して楽観視できるものではありません。人口減少傾向のある日本では、外食産業の市場規模は縮小しています。
加えて”中食”に顧客が流れている影響もあり、集客で悩んでいるお店は少なくありません。
インバウンド需要が増加しているなどプラス材料もありますが、経営の見直しが必要なお店は多いです。

加えて人材確保の問題も深刻です。
優良なお店として世間から広く認識してもらうには、優秀な従業員の存在は必須です。
しかし少子高齢化の問題もあり、人手不足で悩む店舗は目立ちます。
そのため会社としての資本力をアップさせて、経営の安定を図ろうとする動きもあります。

このように決して甘くはない外食産業の現状ですが、焼肉屋は好調をキープしています。
背景には根強い肉ブームや積極的なメディアへの露出が挙げられます。
更に業績をアップさせるためにも動き出している焼肉屋の経営者は多く、事業譲渡も注目されています。

 

事業譲渡とは

事業譲渡とは、会社の事業を第三者の外部の企業に売却する行為を指します。
ここで言う「事業」ですが、主に以下のものが含まれます。
・事業組織
・人材
・債務
・ブランド
・取引先との関係
・有形の財産
・無形の財産
上記のような様々な要素が会社の事業を構成しており、それら全てが対象です。

もう少し詳しく説明すると、契約によって個別の財産や権利、債務などを転移させる手続きが事業売却です。
譲渡する事業範囲も細かく設定でき、事業の一部を譲渡するのも全ての事業を譲渡するのも可能です。同時に契約の範囲もカスタマイズできるので、買い手側企業は債務を必要に応じて遮断できます。
手続きは簡単ではないですが、事業譲渡は双方の企業にとってそれぞれメリットの大きい手法といえます。
注意点としては、事業を譲渡した企業は今後同じ事業を行う事が制限されるので、よく検討した上で事業譲渡を行うようにしましょう。

 

事業譲渡の流れ 

では具体的な事業譲渡の流れをご紹介しましょう。主に以下の7つのステップで事業譲渡は進んでいきます。

1.譲渡先の買い手企業の探索
事業譲渡は内密に行う必要があります。買収企業探しにも注意しましょう。
特に知人や友人など、個人的な繋がりから買い手企業を探している場合は慎重に動くべきです。決まっていない段階で従業員に事業譲渡の検討が漏れると、現場が混乱を招いてしまいます
一般的には、M&Aの仲介業者など、専門家のネットワークを使って探す企業が多いです。
また、直近ではM&Aのマッチングサイトの活用も増加しています。

2.意向表明書の受理
買い手企業から対象会社を買い取りたいとの意向を表明する書類が意向表明書です。
・事業譲渡で対象とされる事業
・債務の範囲
・資産
などの条件と事業譲渡の今後の進め方が記載されています。
事業譲渡を進める際の土台となります。

3.基本合意書の締結
売り手側と買い手側で、事業譲渡の検討を進めていくことに合意がとれるようであれば、基本合意書を締結します。
基本合意書は、事業譲渡の進め方についての取り決めが記載されています。
まだ、この時点では事業譲渡の契約は行われていません。

4.デューデリジェンスの受入
ディーデリジェンスとは、買い手企業が事業譲渡を進めるにあたって、対象事業の価値やリスクなどを調査することを指します。
売り手側は虚偽なく、事業についての情報を開示する必要があります。

5.契約書の締結
ディーデリジェンスを経た上で、買い手企業からは買収の意向と、最終的な買収金額が提示されます。
売り手企業も同意がとれるのであれば、契約締結に進みます。
契約の内容については、仲介会社やM&Aに強い弁護士のサポートを受けることが一般的です。

6.株主総会での承認
株式が公開されている企業であれば、事業譲渡の承認を株主総会で得る必要があります。株主の半数の出席および3分の2以上の賛成票を持って承認となります。

7.引き継ぎの手続き
承認が下りた上で、実際に事業譲渡を行っていきます。
土地の名義や債権などの移転や、運営方法の引継ぎなども含まれます。
対象の焼肉店が円滑に事業を継続していけるように、両社で協力し合うことが大切です。

 

焼肉屋を事業譲渡するメリット


続いては事業譲渡のメリットにはどんなものがあるでしょうか。複数のメリットがありますので、ここでは売り手企業と買い手企業、それぞれの立場に立って考えていきます。

 

【売り手企業のメリット】

1.資金の獲得
当然ですが事業を売却後は、対価としてお金が手元に入ります
得られる金額は事業の規模や収益性によりますが、ある程度まとまった金額を獲得できるでしょう。
得た資金を使って新しい事業を始める方もいれば、老後の資金に活用する方もいます。資金の活用方法は様々です。

2.売りたい事業に絞った譲渡
会社全体を売却するわけではなく、特定の事業のみを売却できます。会社の独立性は担保したまま、組織の事業ポートフォリオを見直す手段として活用可能です。
もし、焼肉屋の事業の採算が取れずに再編に悩んでいるのであれば、再編の難しい焼肉屋のみを譲渡できます。

3.事業の選択と集中
経営資源の再分配として活用されることも多くあります。
特定の事業を譲渡できれば、リソースをその他の伸ばしていきたい事業に集中できます。成長性の高い事業に人と資金も投入することで会社全体の生産性が向上するかもしれません。

 

【買い手企業のメリット】

1.買いたい事業に絞った買収
売り手のメリットと同様に買いたい事業を絞れることは、買い手側にとってもメリットになります。
会社全体を買収する場合では買い手企業にとってメリットのない事業も一緒に買収する必要があります。事業譲渡では承継する範囲を契約の際に詳細に決める事が出来るので、買い手は納得した状態で事業を引き継げます。
認知していない売り手企業のリスクを背負う心配も少なくなります。

2.自社の弱点の補強
買収によって自社の焼肉屋の弱点を克服できるかもしれません
飲食店ではスケールメリットが補強の一つに挙げられます。肉の仕入れ元を共通化することで、仕入のコストを削減できるかもしれません。
また同じブランドを使うことで、焼肉店の全般的な知名度をあげることもできます。
企業によってその思惑は様々ですが、活用用地はあらゆる企業に存在します。
実店舗での販売に強みのある焼肉屋が、オンラインでの商品販売実績のある事業を買収できれば、元の焼肉屋で開発した商品をオンラインで販売できるようになるかもしれません。
シナジーの種類は多種多様に広がっているのです。

3.低コストでの新規事業の開始
仮に焼肉店を新たに始めようとした場合、当然ですがお金も時間もかかります。
店舗の内装を整え、従業員を雇い、新店舗オープンの宣伝を行い認知度を高めなくてはなりません。初期投資には非常に時間とお金がかかります。
一方で、事業譲渡を活用すれば、極めて効率的に事業を開始できます
事業を買収する費用は掛かりますが、総合的なコストは大分抑えられます。

4.節税
買い手側は事業譲渡の際に以下の二つを評価して、資金を支払います。
・現在の事業の価値
・将来的に生み出す価値
後者の「将来的に生み出する価値」は「のれん」といいます。
この「のれん」は会計上、損金算入する事が可能です。のれんの償却を利用することで、税金を削減する事ができます

 

焼肉屋を事業譲渡する際のチェック項目


焼肉屋を事業譲渡する際のチェック項目をご紹介します。
事業譲渡は多岐にわたる項目を検討しなければなりません。その中でも特に重視すべき項目を以下にピックアップしました。事業譲渡を考える際の参考にしてみて下さい。

1.譲渡の目的の明確化
譲渡の目的が不明確だと、取引がうまく進みません。目的の明確化は最も優先順位の高い項目といえます。
資金を獲得したいのか、後継者問題を解決したいのか、事業の選択と集中をしたいのか、その目的によって買い手側企業との交渉の内容も変わります。
まずは、取引がどの様に終着すれば最も望ましいのかを考えてみましょう。その上で、優先順位をつけて取引に臨むようにしましょう。

2.情報漏洩の回避
事業譲渡はできるだけ内密に進める必要があります。
事業譲渡を検討していることが不特定多数の人に広まってしまうと、取引自体がうまくまとまらない可能性が高まります。
例えば、現在働いている従業員は事業譲渡を不安視して、焼肉店を離れていってしまうかもしれません。従業員が定着しない焼肉店では買い手側も買収に不安をかかえてしまいます。不安要素がある分、買収金額を安く買いたたいてくるかもしれません。
情報漏洩には細心の注意を払うべきでしょう。仲介業者などの専門家を活用することでそのようなリスクを減らすことができます。

3.事業譲渡の時期の明確化
事業譲渡は時期によっても左右されます。おそらく最良のタイミングは事業の業績が良く、経営者の意欲も高くなっている時でしょう。
しかし、現実にはうまいタイミングで事業譲渡ができるとは限りません。
同様にいい買い手が見つかるかどうかも時期による影響を大きく受けます。
事業の目的に合わせて早めに準備を進め、余裕を持ったスケジュールで事業譲渡に向けた準備を進めていくことが大切です。

4.専門家への依頼
事業譲渡を含むM&Aは、専門的な知識を多く必要とします。その専門性は財務、労務、法務など多岐に渡ります。
M&Aに慣れていない素人が自力で取引を完結させるのは無理があります。特に事業価値の算出は容易ではありません。
買い手側に対して売却額の交渉をする際にもある程度、根拠のある数字を提示する必要があります。
できる限り、会計士やM&Aアドバイザーなどの施文かのサポートを受けるようにしましょう。探す際には過去に焼肉屋の事業譲渡を経験しているどうか、その実績を見極めるようにしましょう。

5.社員への通知
社員への通知は慎重に行うべきです。
特に事業の中でも活躍している従業員に対しては、取引が成立する前に伝える必要もあるかもしれません。
通知のタイミングを間違えて、従業員から反感を買うのは避けたいものです。
事業の中枢を担う従業員にはしっかりと情報開示をすることで信頼関係を保っておく必要があります。
一方で多くの人に知れてしまうと情報漏洩のリスクは高まります。誰にいつのタイミングで伝えるべきか、事前に整理をしておくようにしましょう。 

 

まとめ

今回は焼肉屋の事業譲渡について詳しくみてきましたが、いかがでしたか。
実用的な役立つ知識も多くご紹介したので、実際に事業譲渡を考えている方の参考になったのではないでしょうか。

集客に苦しむ外食産業の中で、焼肉屋業界は好調が続いています。この好調の裏には経営者の方の努力があります。
移り変わるお客様の趣向の変化に合わせて、店のコンセプトも改良しなくてはなりませんし、出店先も見直す必要があるでしょう。
時には事業譲渡を用いて、抜本的な改革をした焼肉屋もあったはずです。

従業員とお客様、両方が笑顔になれる様に会社を運営するのが経営者の務めです。
経営に苦しく場面もあるはずですが、そんな時は今回ご紹介した事業譲渡という手段も思い出してみて下さい。難題だった課題が、解決に向けて前進するかもしれません。
理想とする経営に向けて、最適な手法を選択しましょう。

焼肉屋の事業譲渡を検討する際のチェック項目
事業の見直しをしたいと考えている経営者の方は多いです。
経営を改善させて会社の成長を継続させるためには、時には難しい判断に迫られる場合もあります。特に競争の激しい外食産業ではM&Aを活用した動向も多く、それは焼肉屋業界も例外ではありません。
飲食業の中でも好調とみられている焼肉業界ですが、人手不足といった深刻なリスクも抱えています。今後の環境変化に対応すべく、事業譲渡を考える企業も多くいます。
会社や事業を売却すると聞くと、一昔前はマイナスなイメージがありましたが、近年では経営を前向きに考える手段として、多くの経営者からの支持を得ています。
今回はそんなM&Aの中でも、焼肉屋業界の事業譲渡に注目します。事業譲渡の基本からチェック項目までご紹介するので、是非参考にしてみて下さい。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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