2019年3月7日 木曜日

焼肉屋の事業承継でお困りではないですか?

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

焼肉屋などの飲食店業界は激しい人手不足に見舞われています。
人手不足のおもな原因となっている高齢化は、経営者自身も例外ではありません。
中小企業経営者の平均年齢は年々上がっていますが、引退年齢はほぼ横ばいで、現在は多くの経営者が引退を考える年齢に達していると推測されます。

経営者が引退する場合、後継者に事業を引き継ぐ事業承継か、第三者への事業承継、あるいは廃業を選択することになります。
今回は、実際に経営から手を引くことを考える場合のそれぞれの選択肢のメリットとデメリット、そして事業承継を行う場合のポイントなどについて見ていきます。

 

焼肉屋を事業承継しよう


焼肉屋の経営者が引退を考える場合、まず検討する選択肢が自分の子供、あるいは親族といった身内への事業承継でしょう。身内への事業を託すのはなにより経営者自身が一番安心できる選択肢です。いわゆる「跡継ぎ」であり、社内外からも受け入れられやすいと言えます。
子供への承継の場合は、計画をもって進めれば相続を利用して財産権を譲渡することもできるため、承継に伴う資金も他のケースと比べて少なくて済みます。

高度成長期は中小企業の大部分は身内への承継でしたが、現在はおもに後継者不足を理由として、役員や従業員などへの親族外承継や第三者へのM&Aによる承継が増えています。
後継者として身内を選べないのには、そもそも子供がいないケースのほか、少ない候補者の中に厳しい経営環境に耐えられる能力を持つ人物がいない、子は親の仕事を継ぐものという価値観が過去のものになり、子が事業を継ぎたがらないということなどが理由として考えられます。

 

後継者がいない、そんなときは


そろそろ引退を考えているものの、親族内からは後継者が見つからない。
その場合は、次のような選択肢があります。

 

従業員への承継

親族内から後継者を出すのが困難な場合、会社の役員や従業員の中から後継者を出すことも考えられます。
従業員への事業承継の場合、店の運営に精通した人物に事業を承継することになります。そのため、安心して経営を引き継ぐことができる、スムーズに引き継ぎができ後継者教育の時間は比較的短くて済む、といったメリットがあります。

一方で、後継者の選定の仕方によっては、親族や他の従業員からの反発を受ける可能性があります。当初は継ぐつもりがない、と言っていた親族が、従業員が後継者候補となったと知ったときに急に継ぐと言い出すなどのケースです。
こういった問題を避けるために、関係者全員の確かな合意を得ておく必要があります。

また、後継者となる従業員のほかに、経営者からの相続対象となる親族がいた場合、会社の権利が後継者と相続人との間で分散してしまい、経営の不安定化を招くことがあるため、注意する必要があります。
経営権の分散防止のために、経営者が生きているうちに後継者に自社株式を集中的に譲渡するといった対策が必要です。

従業員への承継で問題になりやすいのは、後継候補となる従業員が承継する会社の株式や事業用資産などの財産権を取得するための資金を持っていないことが多い、ということです。
従業員への事業承継では、後継者の資金調達が最大のポイントです。
後継者の能力によってはファンドやベンチャーキャピタルから投資を受けられる場合もあります。

 

M&Aによる承継

親族内や役員・従業員から後継者を出すことができなくとも、事業を承継させることができます。それが、M&Aによる事業承継です

M&Aというと、ニュースで大きく取り上げられるような「敵対的買収」をイメージされるかもしれません。買収側と対象企業の経営陣が対立する敵対的買収はニュースになりやすいため、M&A=乗っ取り・身売り・もめ事という連想が働いてしまうのかもしれません。

しかし件数の多い中小規模の事業者のM&Aのほとんどは友好的なM&Aです
中小規模事業者では株式が非公開であることが多く、この場合は売買双方の同意が必要で、敵対的買収は成立しません。
また、焼肉屋などの飲食店では店のオペレーションに慣れた従業員も会社の大切な財産であるため、買収に伴って従業員が解雇されるケースは多くありません。

少子化、人手不足からくる後継者難のなか、友好的なM&Aによる事業承継は有力な選択肢として増え続けています。

 

廃業

経営者が引退する場合、店をたたむ、つまり廃業を選択する場合があります。実際に毎年多くの企業が廃業しています。

店をたたんでしまう場合、店舗が自己所有の物であれば、造作譲渡(居抜き)で売却することが可能かもしれません。
また、賃貸物件であっても、所有者の同意が得られた場合は造作を買い上げてもらうことも可能ですが、原状回復をしてスケルトン状態で返すのが一般的です。
原状回復には大きなコストがかかりますし、造作譲渡ができる場合でもその価格は非常に低くなってしまいます。

また、廃業では従業員は解雇しなければなりません。飲食店業界は人手不足の状態ですが、従業員は今までの積み上げたノウハウを次の職場で活かせるとは限りません。
仕入れ先は取引先をひとつ失い、店に通ってくれていた常連客も行き場を失います。

店の経営状態が良い場合などは特に、経営からの引退、即廃業と結論付ける前に、M&Aによる第三者を含めた事業承継という選択肢を検討する価値はあります

 

M&Aによる事業承継を選ぶメリット


M&Aによる事業承継を選択した場合、さまざまなメリットが考えられます。

廃業せず事業が継続することで、取引先や常連客への影響は小さく抑えることができ、迷惑のかかる範囲が少なくなります。
また、従業員の雇用も維持できることから、従業員にとっては新しい職場でやりなおし、ということをせずに済みます。
そのため、経営者は安心して引退することができます。

店に負債がある場合、親族内承継では負債は身内に残り続け、従業員への承継では連帯補償の解除や変更が難しい場合が少なくありません。
一方、M&Aによる事業承継では負債は譲受側の企業に引き継いでもらうことができます。

また、これまで育ててきた店の”のれん”の継続についても期待できます。
SNSの発達により、消費者の好みがチェーンから個店にシフトする傾向があるため、売却先が大手事業者であっても、店のブランドをはじめとするのれんがそのまま継続されるケースも増えてきました。
買収側がより大きな事業者である場合は、仕入れや間接部門の共通化といったスケールメリットが得られることで、店がさらに発展していくことも考えられます。
また、従業員の福利厚生の充実にも期待ができます。

そして、最大のメリットが売却収入です。廃業では廃業コストがかかりますが、店を売却できた場合は廃業コストのカットだけでなく、収入にもつながるのです。
現状で経営が思わしくない場合でも、買収側が店にメリットを見出して売却できることも珍しくありません。
M&Aによる事業承継では、大事に事業を育てた結果を収入という形で評価につなげることができます。

 

焼肉屋の事業承継のポイント


焼肉屋の事業承継を検討する場合のポイントについて、実際の事業承継の流れにそってみていきます。

 

ゴールを決める

事業承継について検討をスタートする時、最初に行うべきなのはゴールを決めることです。
年齢や健康を理由として経営を引退するための事業承継か、現金収入を得るための売却かといったことで、準備段階で力を注ぐべきポイントも変わります。
ゴールがはっきりしないと事業承継の計画もまとまらず、準備に取り掛かることができません。
事業承継をするにあたって、何が譲れない点であるのか、まず、目的をはっきりさせましょう。

 

事業承継の準備

経営者も歳を取るため、永遠に経営を続けることはできません。
事業承継の準備には時間がかかるため、いつかくる事業承継にむけて、早くから準備に着手する必要があります

早めに準備に取り掛かることで、事業承継のタイミングについても余裕をもって選択することができます。
M&Aによる事業承継であれば売買市場の状況を見きわめて、よい条件での売却を目指すことができますし、親族内や従業員への承継であれば経営不安定化のリスクのある承継のタイミングを、経営に余裕のある時期に調整することが可能です。

 

事業承継の準備では、まず経営の「見える化」を行います。店の将来性や経営上の強みや弱点を明らかにします。
経営者と店の間での資産の貸し借りがどうなっているかも整理します。資産、借入金を整理し、財務状況を明らかにします。

経営状態を把握したら、「事業の磨き上げ」に取り掛かります。
事業の磨き上げは、事業を引き継ぐ人にとって魅力的な会社であるように、経営改善を行う作業です。
可視化により明らかになった問題点を解決し、強みとなる部分をより伸ばしていきます。
貸借対照表や損益計算書といった決算書類をわかりやすい形になるように整えていきます。
過剰な節税対策で本業の実際の損益が覆い隠されていることのないようにします。

経営者の個人資産と店の資産の分離も必要が作業です。店の運営体制が経営者個人に依存している場合は、属人化している部分をできるだけ減らし、組織立って動けるようにしていきます。

 

M&Aによる事業承継を行う場合は、売買交渉の価格のベースとなる事業価値を算定しますが、焼肉屋を含む飲食店の場合、のれんと言われる形にすることのできない店の資産が重要です。
無形の資産は独自のメニューや条件の良い仕入先との取引、店の立地条件やブランドといったものです。
事業の磨き上げではこののれんの強みも伸ばしていくことを目指します。

また、買い手にとって評価しやすい形にするために、レシピや食材の処理方法、店舗運営のノウハウといったものは極力文書化し、可視化するようにします。
事業の磨き上げは一朝一夕で仕上がるものではなく、地道な経営改善で時間がかかるものです。
売却へのスピードを第一に重視する場合は、事業の磨き上げは簡素なものにする、あるいは省略することもあります。

 

後継者の選定・育成

事業承継を行う場合、後継者の選定は非常に重要です。
子をはじめとした親族内での承継を行うのか、役員・従業員に承継するのか、M&Aによって第三者に経営を託すのか、その選択によって、必要な期間も重点を置くべきアクションも変わります。

親族内承継の場合は、後継者としての育成に時間を割く必要があります。ある程度責任のあるポジションで、実際の店の運営に携わるといったことも必要でしょう。
店の運営について熟知している従業員への承継では、教育や引継ぎの期間は短くすることができますが、親族との間で経営権が分散することにより経営が不安定化しないよう、後継者が経営権を手にするための資金の調達法などについて検討しなければなりません。
M&Aによる承継では、後継者は第三者ということになりますが、売却先の選定は秘密厳守で行う必要があります。

 

M&Aアドバイザーへの相談

M&Aにより第三者への事業承継を行う場合、最初に直面するのが売却先の選定です。

焼肉屋などの飲食店業界では、ごく小規模な店の売買では個人間での売却が決まる場合もあります。ただし、経営者自身のツテをたどって売却先を探す方法では、売却の秘密を守るのがどうしても難しくなります。売却の意向が漏れてしまうと、なかなか相手が決まらず、売却の条件も悪くなりがちです。
それだけにとどまらず、現在の店の運営に支障をきたしてしまうこともありますので、細心の注意が必要です。

M&Aの仲介事業者はマッチングを行う際に機密保持契約を結ぶことから、売却の秘密保持という点で有利です。
また、経営者個人のネットワークで売却先を探す場合と比較して、多くの案件情報から売却先を選択できるというメリットもあります。

売買交渉のベースとなる価格を求めるための企業価値算定にはさまざまな方法がありますが、いずれも会計士などの専門家の助けを必要とする複雑なものです。
また、最終契約の前に行われる買収監査(デューデリジェンス)への対応や、最終契約書の草案作成では弁護士の助言を必要とします。
M&Aの仲介事業者は、それぞれの段階で必要になる専門家を揃えて、ワンストップでアドバイスが可能なサービスを揃えているところも多いため、M&Aによる事業承継を行う場合は、飲食店のM&Aの経験を多く積んでいるM&Aアドバイザーに相談することで、スムーズに事業承継を勧めることが可能です。

 

まとめ

後継者難などなどにより、M&Aによる事業承継を検討する事業者は増えています。
M&Aによる事業承継は特別なものではなく、譲渡側も譲受側も満足できる方法のひとつです。事業承継の選択肢としてのM&Aを検討してみてください。

焼肉屋の事業承継でお困りではないですか?
焼肉屋などの飲食店業界は激しい人手不足に見舞われています。
人手不足のおもな原因となっている高齢化は、経営者自身も例外ではありません。
中小企業経営者の平均年齢は年々上がっていますが、引退年齢はほぼ横ばいで、現在は多くの経営者が引退を考える年齢に達していると推測されます。
経営者が引退する場合、後継者に事業を引き継ぐ事業承継か、第三者への事業承継、あるいは廃業を選択することになります。
今回は、実際に経営から手を引くことを考える場合のそれぞれの選択肢のメリットとデメリット、そして事業承継を行う場合のポイントなどについて見ていきます。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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