2019年3月5日 火曜日

焼肉屋の事業売却のポイントとは?

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

現在の焼肉業界は、有名店やその模倣店が全国に乱立し、常に競争を求められる状況に置かれています。
「食べ放題」専門業態を取り入れる大手焼肉屋も増加し、他店と差別化を図ることがさらに難しくなっています。
中には、自店の事業売却を検討するオーナーもいるでしょう。

しかし、焼肉屋の事業売却を行う前に、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
ここでは、事業売却を行う際に、知っておきたいポイントをまとめています。

 

焼肉屋の事業売却で次のステージへ


事業売却、いわゆるM&Aは、「売り手市場」とされています。
内装や設備が前オーナーから引き渡される「居抜き」とは異なり、事業そのものを売りたいという人が少なく、それに対して買いたい人が多いのです。
事業売却を行うことで、自店を次のステージにステップアップできる可能性が高いといえます。

ここでは、事業売却を行うことによって得られるメリットについて3点ご紹介します。

 

1.資金を得られる
一番のメリットとしてあげられるのは、事業価値を現金化できることです。これまで築き上げてきたノウハウが、目に見える形で評価されます。
また、買い手のもとで自店のさらなる成長を見込めます。
現段階の経営を続けていくより、売却した方が焼肉屋としての価値を高められるでしょう。
単に閉店してしまうのではなく、売却することによって利益を得られることに加えて、自店のステージアップに繋がれば、一石二鳥となります。

 

2.従業員の雇用を継続できる
お店を手放す際に、従業員の今後に強い不安を抱くオーナーも少なくありません。
ただ、M&Aを活用した場合には、多くの買い手が既存従業員の雇用を継続する傾向があります。
理由は、以下の3点です。

・売り手の従業員が解雇等の不利な状況に置かれるようなM&Aは、売り手のオーナーが望まない場合が多く、交渉が成立しないため
・買い手は、売り手の取引先・ノウハウ・ブランドに重きを置いていて、それに関わっている人が抜ければ、買収目的が達成されないため
・買い手が、売り手の従業員数が過剰だと感じても、日本の労働法上、解雇が難しいため

これらの理由から、事業売却に反対して自ら退職する従業員以外は、雇用を継続してもらえることが多いため、従業員の将来は保証されているといえます。

 

3.自店のノウハウが無駄にならない
今まで焼肉店を経営してきた過程で、確固たるノウハウが築き上げられている場合、みすみす無駄にしてしまうのはもったいないです。
事業売却を行う際に、そのノウハウを活かす条件を受け入れてくれる買い手を探しましょう。
自店で築き上げたノウハウが守られ、買い手によってはさらなる質の向上が実現されます。
また、そのノウハウが、焼肉店以外の事業の手助けとなる場合もあります。

 

焼肉屋を事業売却する目的にはこんなものがあります


事業売却を行う際は、焼肉屋に限らず、目的を明確にする必要があります
なぜなら、目的によって、売却先の選定や条件が変わってくるからです。最優先する目的を明確にし、スムーズに事業売却を成功させましょう。
ここでは、焼肉屋のオーナーが事業売却を行う目的を4点ご紹介します。

 

1.後継者問題の解決
後継者不足によって、廃業するお店は年々増加しています。
帝国データバンクが2017年に実施した「後継者問題に関する企業の実態調査」では、国内企業の66.5%が後継者不足であるという調査結果が出ています。
後継者不足の原因として、少子化・事業の将来性に対する不安・親族承継のリスク・後継者不足への対策の遅れがあげられます。
事業を後継者に継がせる際には、莫大な時間と労力が必要とされます。お店を経営する忙しさに追われて、後継者探しや、後継者の育成を怠れば、お店の存続は困難となります。

後継者問題を解決するためにM&Aを活用する飲食店は少なくありません
事業売却を行うことによって、信頼のおける買い手を見つけ、自店を任せることができます。
後継者というと、親族や優秀な従業員がふさわしいというイメージが強いかもしれません。
しかし、今まで関わりのなかった企業に経営を委ねることも、お店の存続のために必要となります。
売り手の熱意が買い手に伝わった結果、新経営者が非常に熱心に経営存続に取り組んでくれた、という事例も多くあります。

 

2.アーリーリタイア
事業売却を行う際に、アーリーリタイアも目的にあげられます。
アーリーリタイアすれば、残りの人生を有意義に送ることが出来ます。趣味に打ち込む・家族と過ごす・新しい事業にチャレンジする、など、選択肢が豊富にあります。

しかし、アーリーリタイアするためには、自店に関わっている従業員・取引先・顧客に対して、責任を持って対応しなければなりません。また、余裕のある生活を送るためには、相応の資金も必要となります。

アーリーリタイアする年齢は、40~50代が多いとされています。しかし、中には30代でリタイアを望む人もいます。
アーリーリタイアする年齢にかかわらず、貯蓄が必要となります。
リタイアには、大きく分けて、3つ種類があるため、自分に合ったタイプを見つけてみましょう。

『完全リタイア』…完全に仕事を辞め、趣味やレジャーを満喫するケース。
『セミリタイア』…ストレスにならない程度に仕事を継続し、残りの時間を趣味やレジャーにあてるもの。多くの場合、フリーランスやアルバイト・パートタイマーで収入を得ます。
『ミニリタイア』…これは少し特殊な形式のリタイアです。1年のうちの半分は働き、残りの半分を全て休暇にあてるもの。

それぞれの焼肉屋の事業価値によって、金額は異なりますが、前述のように、事業売却を行うと、創業者資金を得ることが出来ます
また、経営の存続が可能となるため、お店に関わっている人にも、誠意を尽くせます。
よって、安心して、気兼ねなくリタイア後の人生を謳歌することができます。

 

3.経営の効率化
経営の改善を図ることを目的として、事業売却を行うケースもあります。
例をあげると、「赤字経営を改善させたい」「大手傘下に入ることによって、安定した経営をしたい」「黒字経営だが、さらなる利益が欲しい」などがあります。
独自の戦略では今後の経営の発展が難しい場合、他社の手を借りることも、経営の効率化のための1つの手段です
今後、自店の経営状態をどのようにしていきたいかを明確にし、目的に合った買い手を見つけましょう。

例えば、焼肉屋さかいの事例では、事業売却を行ったことによって収益向上に繋がりました。事業再生のカギとなったのは、「本部の適正化」「FL値の改善」「リニューアル」です。
さかいは、リストラで人員を削減するのではなく、グループ内を含めて再配置しました。これが「本部の適正化」にあたります。
「FL値」とは、F値は食材原価、L値は人件費を意味します。
飲食店のFL値の合計は、一般的に60%です。この数値は会社の管理力によって変わってきますが、さかいは事業売却を行った際にその改善に成功しました。
「リニューアル」は、言葉通り改装することを指します。店内のレイアウトを見直し、人件費を抑えることに繋げられます。

さかいの事例のように、事業再生に長けた買い手に売却することによって、経営の効率化を図ることができます。

 

4.事業の選択と集中
複数の焼肉屋、あるいは焼肉屋以外にも事業を行っている場合、事業売却によって手放したい事業を売却し、伸ばしていきたい事業に集中することができます
経営状態が思わしくない事業を手放すことによって、負債が大きくなることを防げます。

また、事業を広げすぎてしまった場合、オーナーの管理が行き届かなくなり、サービスの質が落ちる可能性もあります。
これは顧客のみではなく、従業員の労働環境にも当てはまります。
より質の高いサービスや労働環境を提供することを目的に、事業売却を選択するケースもあります。

 

焼肉屋の事業売却を行う上での注意点


焼肉屋の事業売却を行う際は、取引成立までに長期間かかることも視野に入れて、綿密に計画を立てなければなりません。
条件が合う買い手探しや、売却するための準備は慎重に行う必要があるため、注意点を確認しておきましょう。
ここでは、焼肉屋が事業売却を行う上での注意点を4点ご紹介します。

 

1.専門家に相談する
事業売却を行う際は、必ず専門家に相談しましょう
自力で買い手を見つけることは非常に困難です。また、トラブルを避けるためにも専門家の力を借りることが必要です。
相談先候補として挙げられる専門家は3つあります。
それぞれ特徴が異なり、メリットとデメリットが存在します。自店に合った専門家を選びましょう。

『M&A会社』
M&A会社には2種類存在します。
1つは、不動産取引のように、売り手と買い手を仲介してくれる「仲介会社」です。
もう1つは、会社の代理に交渉してくれる「アドバイザー会社」です。
日本の中小企業は、仲介会社を利用する傾向があります。
近年、中小企業でもM&Aが普及しています。それに比例してM&A会社も、ただ取引を成立させるだけではなく、サービスの質の向上にも重きを置いています。

M&A会社に共通してあげられるメリットは、事業売却に関する知識や事例が豊富であることです。
また、全国に売買の候補企業のネットワークを持っているため、マッチングする確率が高いという強みも持っています。

一方、仲介会社のデメリットは、売り手が不利になってしまう場合があることです。
売り手は高く売ろうとし、買い手は安く買おうとします。仲介会社は、取引を成立させるために、どちらかに妥協を求めなければなりません。
その際に、売り手側が折れなければならない場合もあります。

M&A会社を利用する上で確認しておくべき点は、
・買い手企業の紹介のみ行うのか
・取引の全般を担う会社か
・買い手企業の候補・提案の評価を含むか
という点が挙げられます。

 

『公認会計士や税理士』
公認会計士や税理士事務所は、日常的に会社売却に関わっています。相談すれば、親身に対応してくれます。
しかし、焼肉屋及び会社の売却価格を、純資産と売却価格を同等のものと考えているケースがあります。
その場合、M&Aによって見込まれる無形の価値(将来の利益・顧客ネットワーク)を評価に含めてくれない場合もあります。
よって、自店の価格が安くなってしまう可能性があります。

会計士や、税理士に相談するメリットは、比較的相談しやすい点です。
日頃から自店に携わっている人や事務所を選べば、すでに信頼関係や人間関係が構築されているため、安心して相談できます。デメリットとしてあげられるのは、ネットワークが広いとはいえない点です。地域密着型でM&Aに携わっている場合が多く、マッチングの数が限られてしまうこともあります。

 

『銀行・証券会社などの金融機関』
事業売却について、日頃から取引のある銀行・証券会社に相談することもひとつの手段です。
金融機関は情報を豊富に持っています。しかし基本的には、取引先の中から買い手を選ぶ傾向があるため、マッチングの選択肢が狭まってしまいます。
金融機関を相談先として選ぶメリットは、M&Aを専門に扱っている事業部があるため、ネットワークが広い点です。デメリットとしては、手数料が高い点があげられます。

 

2.秘密を厳守する
事業売却を行う際に気をつけなければならないのは、秘密を厳守することです。
事業売却は、従業員や取引先にとっては、今後に関わる大問題です。
よって、オーナーが事業売却を検討していることが何らかの形で従業員や取引先に伝わってしまうと、反対する人や、辞めてしまう人が出てくる可能性があります。
また、資金繰りの悪化を憶測され、取引先とのトラブルに繋がる恐れもあります。
信頼のおける相談先を選ぶことはもちろん、社内でも、不適切な場所で事業売却の話題を出すことは避けましょう。
事業売却は、今後の経営や従業員・取引先の将来を左右する、大きな取引のため、情報の管理は徹底しなくてはなりません。

 

3.事業価値を明確に買い手に伝える
希望の売却価格で、スムーズに買い手と取引を成立させるためには、明確な事業価値の提示が必須となります
明確に伝えられない場合、交渉することが難しくなるため注意が必要です。

データ化して、根拠をもとに、自店ならではの強みをアピールできるようにしておきましょう。自店のアピールポイントがわからない場合は、お店にアンケートを設置することをおすすめします。顧客の正直な感想から、強みや弱みを見つけることができます。

事業価値に自信がない場合は、事業売却までに少しでも多くの強みを作りましょう。接客の質や、厨房だけでなく、お店全体の衛生面に力を入れるだけでも、買い手が受ける印象は変わります。事業売却では、確固たる事業価値を明確に示すことが、取引成立のカギとなります。

 

4.独自メニューや仕入れ先の継続、多店舗経営が可能か、などの条件を確認する
事業売却後に、自店の築き上げてきたものや、今後の展望がどのようになるのかを確認する必要があります。
買取価格が高額の場合でも、即決する前に条件の確認を怠らないように注意しましょう。
「独自メニューが今後も採用されるか」「これまでお世話になった仕入先を継続してもらえるか」「多店舗経営など自店を拡大していくことが可能か」など、気になることは交渉段階で解決することが重要です。

 

まとめ

以上、焼肉屋が事業売却をする際に押さえておきたいポイントをご紹介しました。
まずは、専門家に相談し、焼肉屋の事業売却の事例を集めましょう。
事業売却には、時間と労力が必要となるため、早めの準備をおすすめします。

焼肉屋の事業売却のポイントとは?
現在の焼肉業界は、有名店やその模倣店が全国に乱立し、常に競争を求められる状況に置かれています。
「食べ放題」専門業態を取り入れる大手焼肉屋も増加し、他店と差別化を図ることがさらに難しくなっています。
中には、自店の事業売却を検討するオーナーもいるでしょう。
しかし、焼肉屋の事業売却を行う前に、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
ここでは、事業売却を行う際に、知っておきたいポイントをまとめています。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
2019年3月5日
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