2019年3月20日 水曜日

バルの事業承継でお困りではないですか?

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

バルの事業承継でお困りではないでしょうか。事業承継の問題は、中小企業経営者を悩ませていますが、バルも例外ではありません。
しかし、バルに限ってみれば、事業承継に対して有利な風が吹いています。M&Aを活用した、バルの事業承継について解説します。

 

バルを事業承継しよう


今日では、多くの業態が「バル」を名乗っています。そのため、バルが一体どのようなものなのか、イメージがはっきりしなくなっています。「バル」とは何か、バル業界はどのような変遷をたどったのかを押さえたうえで、バルの事業承継を考えてみましょう。

 

「バル」とはなにか

「バル」はもともとスペインやイタリアの「バル」から来た言葉です。スペインのバルは、居酒屋と軽食喫茶店が合わさった形態の店舗です。バルに来た地域住民は、小皿に盛られた一品料理のタパスや、おつまみを串刺しにしたピンチョスを食べながら、コーヒー、ビール、ワインなどを楽しみます。スペインの人々にとって、バルは地域の人々との交流を楽しむための重要な施設です。スペインのバルは地域コミュニティの拠点になっているといえるでしょう。

 

バル業界の変遷

日本に最初にバルが現れたのは比較的最近のことで、2005年頃だと言われています。当時のバルは「スペインバル」とも呼ばれ、本家スペインのバルに倣ったものでした。300円前後のタパス料理、パエリア、安めのワインを提供するバルの売りは、安く洋食を食べられることでした。

その後、ピザやパスタなどの質にこだわったバルが現れます。原価率を高めに設定し、お値打ち感が感じられたことが、多くの客に受け入れられた要因でした。

そのあとになると、バルは専門化の時代に入ります。なにか一点、ほかと差別化できる特徴を備えたバルです。その中でも、肉にこだわった「肉バル」はとくに目立ちます。ほかにも、石窯を備えたバルや、板前が料理を出すバルなどが出現しました。バル業態が飽和しつつある中、バルの中で差別化する必要が出てきました。

 

バルを事業承継しよう

現在、大手の飲食会社は、業態の多角化に努めています。一つの会社がたくさんのブランドを抱え、地域に複数の業態の店舗を展開する戦略です。大手飲食会社は、そうすることで収益の安定化を図っています。

これは、バルの事業承継にとって有利な状況です。M&Aを活用して事業承継を行うのであれば、業態の多角化に取り組む大手飲食会社が、買収に応じる可能性が高くなっています。バル業態が飽和しつつある中、勝ち組と負け組が鮮明になりつつありますが、仮に経営が思わしくなくても、事業承継を成功させられる可能性は高いといえるでしょう。

 

後継者がいない、そんなときは


経営者自身の高齢化、ほかの事業への挑戦、選択と集中による経営の立て直しなど、バルの経営を誰かに引き継ぐ理由はさまざまです。そこで問題になるのが、バルの経営を引き継いでくれる人が見つからないという、後継者問題です。後継者問題は、バルに限らず、数多くの中小企業経営者を悩ませています。
しかし、M&Aを活用すれば、後継者問題を解決することができます。

 

中小企業を悩ます後継者問題

中小企業の経営者は高齢化しています。1995年当時、中小企業の経営者数を年齢別に集計すると、最も多い層は47歳でした。しかし、2015年になるとこのピークは66歳になっています。この20年間、中小企業は経営者の若返りに成功していません。休廃業、解散に追い込まれる中小企業の経営者の中には70代、80代が多くを占めています。後継者を見つけられないままに経営者が高齢化して、そのまま休廃業・解散に追い込まれていることが窺えます。

 

M&Aと事業承継

後継者問題に悩まされる中小企業にとって、M&Aの活用は、問題を解決する大きなチャンスです。そこでまず、M&Aと事業承継について解説します。

 

M&Aとは

M&Aは、英語表現”Mergers and Acquisitions”の略であり、そのまま日本語に訳すと「合併と買収」となります。しかし、M&Aが意味するところは、狭く合併と買収だけではありません。
現在、M&Aは事業の再編と統合の意味で広く用いられています。M&Aは業務提携など、経営者間で資本の移動を伴わないもの、持ち株会社の設立などの資本提携、買収や合併などの資本の移動をともなうものにわかれます。

 

事業承継とは

事業承継とは、経営者が別の経営者に会社を引き継ぐプロセスです。事業承継の形態は次の3つに分かれます。
第一は身内への事業承継です。もっとも伝統的な方法であり、これまで中小企業を承継する方法として、広く行われてきました。しかし、変化の激しい社会の中で、事業を引き継ぎ長期的に維持・発展することが難しくなったこともあり、この身内への事業承継は次第に難しくなってきました。
第二は従業員や役員への事業承継です。しかし、仮に優秀な役員や社員がいても、経営を引き継ぐために必要な資金が足りなければ断念することになります。
第三が、このあとご紹介する、M&Aによる事業承継です。

 

M&Aによる後継者問題の解決

親族や役員・従業員以外に事業を承継する場合、M&Aにより事業を承継したと言われます。M&Aによる事業承継の特徴は、多数の買い手候補の中から、事業の承継先を選択できることです。後継者問題が深刻化する中、M&Aによる事業承継は切り札になると捉えられています。以前、日本企業はM&Aを忌避する傾向がありましたが、次第にそうした考えはなくなり、M&Aを活用した事業承継が増えてきています。

 

M&Aによる事業承継を選ぶメリット


M&Aを活用した事業承継には、さまざまなメリットがあります。そのうちの代表的なものをご紹介します。

 

後継者問題の解決

M&Aを活用すれば、多くの中小企業を悩ませる後継者不足の問題を解決できる可能性が高まります。M&Aの場合、買い手、つまり事業の承継者を非常に広い範囲から選択することができます。それゆえ、事業に一定の価値がある限り、そのうちの誰かが承継してくれる可能性が高くなります。

 

従業員の雇用確保

事業承継に失敗して、廃業することになると、従業員を解雇せざるを得なくなります。これまで事業に貢献してきてくれた従業員を解雇するのはできるだけ避けたい事態です。
一方、M&Aを活用して事業を承継すれば、買い手企業が従業員の雇用を継続する可能性があるばかりでなく、従業員の待遇が改善する可能性もでてきます

 

創業者利益の獲得

バルの経営者が、同時に創業者でもある場合は少なくありません。この場合、バルの経営者は、創業時の不安定で多くの仕事が必要な時期を耐え抜いたことになります。事業の成功によって、そうした努力の一部はすでに報われていると考えることもできますが、バルを一つの経営資産と考えれば、M&Aによるバルの承継、つまり売却は、これまでの努力を創業者利益として確定する機会でもあります。このようにして獲得した現金を、余裕のある老後のための資金や、新しい事業に挑戦するための資金として活用することができます。

 

廃業のコストがなくなる

事業の廃業には、意外にコストがかかるものです。在庫や設備など不要になってしまったものの処分や、店舗の原状回復など、設備面のコストがかかります。それだけではなく、廃業手続きにともなう税理士への支払い、従業員を解雇するためにかかるコストもあります。しかも、経営者が債務を負っている場合、返済は廃業してからも続きます。
事業を承継できれば、こうしたコストの大部分をなくしたり、減らしたりすることができます。

 

資産評価額が高くなる

事業を承継するメリットは、廃業のコストがなくなるだけではありません。事業承継の場合、バル自体はなくならないのですから、「のれん」や「営業権」などと呼ばれる、長年にわたる営業で築き上げてきた店の伝統や社会的信用、立地条件、取引先関係などの無形資産が評価の対象となります
「のれん」や「営業権」以外にも、設備などをはじめとする資産が一体として評価されるため、バラバラに評価される場合と比べると、相乗効果の分だけ資産が高く評価されます。

 

事業の継続と更なる発展

M&Aにより事業を承継する場合、承継後に、買い手企業の資金力・信用・ノウハウや、買い手企業が保有する他の事業とのシナジー、スケールメリットによるコストダウンなどにより、集客や人材採用が容易になる、これまでできなかった設備投資やシステム投資が可能となる、といった効果が期待できる場合があります。
こうしたメリットを期待した事業承継の例も多くあります。このとき、もともとの経営者も買い手企業に参画し、経営的な立場を保持する場合もあります。

 

選択と集中により事業を立て直すことができる

中小企業経営者にとって、さまざまな事業を経営して利益を出すことは簡単なことではありません。全体として事業が思わしくなくなり、選択と集中により事業を立て直す局面が来たときに、切り離す事業をだれかに承継できれば、事業の立て直しがより円滑になります

 

バルの事業承継のポイント


中小企業経営者にとって、M&Aによる事業承継は、後継者問題を解決する切り札とも言えます。しかしそれでも、買い手が現れず承継に失敗する場合もあります。
M&Aは事業の売り手と買い手の間の交渉です。自身のバルを買い手からみて魅力あるものにすることができれば、より多くの買い手が現れるので、事業承継が成功する可能性が高まり、売却益も高まります。

 

バルに強みを作る

バルが日本で始まってから約15年が経過しました。その間、バルは流行り言葉となり、現在では非常に多くの業態がバルを名乗っています。バルにそれだけの魅力があるのは事実なのですが、店名に「バル」を取り入れるだけでは、初回客の集客にはつながっても、繰り返し来店してはくれません。結局、今起こっていることは、勝ち組バルと負け組バルの明確化です。より良い条件で事業承継を成功させるためには、バルに強みが必要です

 

「バル」らしさ

基本的なことですが、ほかの居酒屋やレストランから差別化するためには、バルらしさが必要です。「バル」らしさとはどのようなものなのでしょうか。バルの顧客ターゲットは、女性、カップル、若者です。その中でもトレンドに敏感な人々を引き付けることを考えれば、「バルらしさ」が見えてきます。暗めの照明、クラブミュージック、店員の気さくな振る舞いは、トレンドに敏感な人たちにアピールします。女性を引き付けるためには、ノンアルコールを含め、カクテルなど、多様なドリンク類を揃える必要があります。バーと差別化するためには、ご飯ものを充実させる必要があります。

 

特徴のあるバル

次に、多くのバルと比べたときの自身の差別化ポイントを考えてみましょう。たくさんの業態がバルを名乗っている現在、それらの中から選ばれるためにはどのような特徴を備えればよいのでしょうか。
バル業界の現在のトレンドは専門性です。牛肉、鶏肉、海鮮など、肉類を売りとする「肉バル」や、窯焼きピザの提供、板前が料理を提供する「板前バル」など、商品力、調理設備、調理師など、一芸に秀でたバルが支持されています。

 

立地の重要性

バルは飲食産業なので、立地は非常に重要です。スペインのバルは、地域コミュニティの拠点の役割を果たしていました。日本のバルも、工夫によってそうした機能を獲得することができるでしょう。そのためには、地域住民の人口構成や、産業、歴史をよく理解して、地域住民のニーズに合ったバルにしていく必要があります。競合店が少ない場所に出店することも重要ですが、だからといって賑わいのない場所に出店してはいけません。レストラン街などに出店することで、多くの店舗が一体となった集客効果を期待できるのです。

 

オーナーに依存しない強み

バルを事業承継するときにオーナーが経営から手を引く場合に、もしバルの人気がオーナーに依存して成り立っていたとすると、買い手の評価は下がってしまうので注意が必要です。たとえばオーナーがシェフの役割を務めていて、料理が人気で高い評判を得ているような場合です。業務の「仕組み化」などにより、オーナーに依存しない強みを作りましょう

 

まとめ

以上、バルの事業承継について解説しました。大手飲食会社が業態の多角化を進める現在は、M&Aを活用したバルの事業承継にとっては有利な状況です。この状況を逃すことなく、事業承継に向かって一歩踏み出してはいかがでしょうか。

バルの事業承継でお困りではないですか?
バルの事業承継でお困りではないでしょうか。事業承継の問題は、中小企業経営者を悩ませていますが、バルも例外ではありません。
しかし、バルに限ってみれば、事業承継に対して有利な風が吹いています。M&Aを活用した、バルの事業承継について解説します。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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