2019年4月21日 日曜日

パン屋・ベーカリーの事業承継でお困りではないですか?

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

パン屋における業界は、大きく2種類に分けられます。
1つは、店舗内に厨房を持ち、パンの製造と販売を行う、街のパン屋といわれる「リテールベーカリー」です。
もう1つは、工場でパンを大量に製造し、売り場に輸送する、大規模なパンメーカーです。

日本では、売り上げの大半を大手パンメーカーが占めています。しかし、日本におけるパン屋の数は、9割以上がリテールベーカリーとなっています。小規模なパン屋が増加し、競争は激化しています。年齢・体力面・経営面の問題から、自店の事業承継を検討するオーナーも少なくありません。

ここでは、事業承継のために押さえておきたい最低限のポイントについてご紹介します。

 

パン屋・ベーカリーを事業承継しよう


丹精込めて育て上げたパン屋を廃業してしまうのは、もったいないです。廃業には、多くのデメリットが伴います。従業員・取引先・常連のお客様に迷惑をかけてしまう点・莫大な廃業コストかかる点・培われたノウハウや技術が損失される点などがあげられます。

それらのデメリットを回避するために、事業承継をおすすめします。事業承継を行う際は、時間と労力が必要なため、早めに準備を行いましょう。事業承継に着手してから完了するまで、1ヵ月~半年以上かかるとされています。お店の規模によって、事業承継に必要な期間は異なるため、注意しましょう。

 

事業承継とは

事業承継とは、「会社の経営を後継者に引き継ぐこと」です。
パン屋に限らず、中小企業では、オーナーの経営手腕がお店(会社)の強みや基盤そのものになっていることが多くあります。よって、事業の引き継ぎを行う際、「誰」を後継者にするかは、重要な経営課題となります。

事業承継は、「次のオーナーを誰にするか」以外にも、「会社の経営権を誰に引き継ぐか」「後継者教育をどうするか」といった問題もあります。引き継ぐ相手の選択肢は、「親族」「従業員」「他社の経営者」の3つの候補があげられます。今回、ご紹介するのは、「他社の経営者」に事業を引き継ぐ、M&Aを活用した事業承継です。

 

事業承継の相談先

事業承継を検討する際は、必ず専門家に相談し、協力を得ましょう。
事業承継には、豊富な知識と経験が必要です。個人で対応するのは、効率が悪く、成功する確率も低くなります。

相談先を選ぶ上で気をつけたいポイントは「信頼できる相談相手を選ぶ」ことです。事業承継は、デリケートな問題のため、従業員や取引先には絶対に情報を漏洩しないようにして下さい。信頼できる相談相手を選び、秘密の厳守を徹底しましょう。ここでは、「M&A=事業承継」としています。

 

①M&A仲介業者

M&Aの仲介業者なら、事業承継に関する不明瞭な相談から、M&Aの実行、アフターフォローまで手伝ってくれます。事業継承を最初から最後まで請け負ってくれるため、一番おすすめの相談相手です。M&A仲介業者は、豊富な知識・事例と幅広いネットワークを持ち、事業承継の相手を迅速に見つけて、交渉を進めてくれます。

デメリットとしては、事業承継を実際に依頼する場合、仲介手数料が高額であることです。規模が小さい案件でも、300万程度はかかるとされています。しかし、事業承継には、どの専門機関を利用するにしても、ある程度の費用が必要です。不相応な値段を支払うことはありませんが、費用を抑えるために、納得のいかない取引になることは避けましょう。

 

②FA(フィナンシャルアドバイザリー)

FAとは、一般的にM&Aにおける計画立案から成約に至る一連の助言業務を行います。FAは、「M&Aアドバイザリー」「M&Aコンサルタント」など、業者によって呼び方が異なります。M&A仲介業者との違いは、「仲介ではなく、助言のみを行う」点です。FAの役割は、売り手・買い手のどちらかにつき、担当する側の利益が最大限になるように助言業務を行うことです。手数料は、売り手・買い手のどちらか協力した一方から得ます。以前は、上場企業が主な顧客でしたが、最近では、中小企業でFAに相談するオーナーも増えています。

 

③会計士・税理士

会計士は、お店の財務状態に関する相談相手に、税理士は、税務に関する相談相手となります。普段からお世話になっている会計士・税理士に相談すれば、すでに信頼関係が築けている点に加えて、お店の経営状態を熟知しているため、話を早く進められます。日頃からの付き合いもあって、比較的相談しやすいです。一方、会計士・税理士は地域密着型である傾向が強いため、M&Aを行う相手を持つネットワークが狭い可能性があります。よって、条件が合う買い手を見つけるのに時間がかかってしまうことも少なくありません。

 

④金融機関

銀行や証券会社等の金融機関に相談することも、選択肢としてあげられます。大規模な銀行であれば、M&A専門の部署がある金融機関もあります。しかし、これらの金融機関は組織の規模が大きいため、多額な手数料と時間がかかってしまいます。迅速な対応が見込めないため、あまり推奨されません。相談のみであれば、どこの機関も無料で行ってくれる場合が多いです。複数の機関に相談して、自店にあった相談先を探しましょう。
近年は、中小企業でも、M&Aが活性化しているため、相談相手のサービスの質が向上し、事例も増えているため、比較的相談しやすくなっています。

 

パン屋の事業承継の相手

パン屋が事業承継を行う場合、買い手もパン屋であることが多いです。事業承継の条件を、「美味しいパン作りを継続してほしい」とした場合は、同じ理念を持った同業者間である買い手に事業継承を行うことをおすすめします。独自の技術やノウハウを売りたい場合や、とにかく高値で売りたい場合は、買い手の業界にこだわる必要はありません。売り手となるオーナーがするべきことは、条件を簡潔かつ明確にすることです。条件をはっきりさせることによって、どのような買い手を見つければいいか、目標が定まるからです。

 

後継者がいない、そんなときは


少子化問題や価値観の多様性が起因して、後継者が見つからないオーナーは少なくありません。後継者問題に直面した場合、事業承継を行うことによって解決することができます。経営悪化から親族や従業員に継がせたくない場合や、黒字経営だが適当な後継者がいない場合など、後継者問題にはさまざまな理由があります。事業承継を行う際、複数の買い手を比較し、オーナーが理想とするお店の経営体制を理解してくれる、最適な買い手を見つましょう。熱意ある新たなオーナーが、後継者として、大切なお店をステージアップしてくれます。

 

M&Aにおける誤解

事業承継を行うために、M&Aを選択する際、「買収」という言葉から、「身売り」を連想し、マイナスなイメージを持つオーナーも多くいます。しかし、それは大きな誤解です。M&Aを活用した事業承継は、お店やノウハウを存続させ、従業員と取引先を守るための有効な資本提携です。買い手がつくことは、お店の企業価値が評価されることを意味し、成功の証であるといえます。お店の維持や発展のためには、「他社の協力を得る事業戦略」として、前向きにとらえる姿勢が必要となってきます。

 

M&Aを活用した事業承継の種類

M&Aを活用した事業継承には、大きく分けて3種類あります。中でも、株式譲渡と事業譲渡は、代表的な手法とされています。どの手法にも、売り手・買い手の双方にメリットとデメリットが存在します。売り手が得られる最大のメリットは、創業者利潤として、現金を得られる点です。その現金は、企業価値が評価された分だけ、得ることができます。
ここでは、M&Aによる3つの事業承継の種類と、売り手に発生するメリット・デメリットについてご紹介します。

 

①株式譲渡

株式譲渡とは、「売り手の株主が、保有する株式を買い手に譲渡する方法」です。この手法は、株主のみが入れ替わるため、会社の事業はそのまま継続できます。
メリットとして、手続きが簡易な点と、債権者や従業員の同意が不要であるという点があげられます。
デメリットは、株式が分散している場合、株式譲渡であるM&Aの成功率が低い点です。できるだけ、煩雑な手続きや、周囲の反対を避けたいのであれば、株式譲渡をおすすめします
株式譲渡を行う際は、自店の株式がまとまっているか、確認が必要です。

 

②事業譲渡

事業譲渡とは、「会社の一部の事業を他の会社に譲渡する方法」です。この『事業』とは、有形・無形のあらゆる資産をさしています。有形の資産は、パンを作るための機械や設備、不動産(お店そのもの)がそれにあたります。無形の資産は、ノウハウや取引関係となります。これらの資産は、企業価値として評価されます。
事業譲渡のメリットは、残しておきたい事業や資産を譲渡対象から外せる点です。必要のない事業を手放して現金化し、これから力を入れたい事業に集中できます。
デメリットは、手続きが煩雑である点です。
多少手続きが多くても、譲渡する事業を選択したい場合は、事業譲渡がおすすめです。

 

③株式交換

株式交換とは、「売り手が、買い手の完全子会社になる方法」です。売り手の株式を買い手に取得してもらうことと同時に、その買い手の株式も取得することができます。この手法も、子会社になるのではなく、現金の獲得を選択することも可能です。
子会社となるメリットは、買い手企業の業績が好調になれば、売り手も利益を得られる点と、今後経営を続けていく際に、売り手と買い手でリスクを分散できる点です。
デメリットは、手続きが煩雑な点と、買い手の業績の影響を大きく受けてしまう点です。大手傘下に入ることによって、安心感とブランド力を得たい場合は、株式交換がおすすめです。

 

M&Aによる事業承継を選ぶメリット


M&Aによる事業承継を選択する最大のメリットは、前述のように、「現金を得られる」点です。しかし、M&A手法による事業承継で得られるメリットは他にもあります。例として、後継者問題の解決、従業員の雇用を守れる、新たな開拓ができる、アーリーリタイアの実現、経営不振の事業から撤退できる、などがあげられます。
ここでは、その中から3点のメリットを解説とともにご紹介します。

 

①お店の新たな展望を描ける

将来有望な優良企業にお店を売却することによって、今後の経営方針における不安を解消し、新たな展望を描くことができます。これは、大きなメリットといえます。
人口減少が進んでいる現在の日本において、市場が拡大する見込みはなく、どの業界でも生き残りをかけて、競合が激化しています。生き馬の目を抜くような戦いに勝つ保証はありません。しかし、事業承継によって、他社の力を借り、自社努力では成し得なかった成長に繋がる機会を得ることができます。

 

②アーリーリタイアできる

パン屋の経営は、早朝からの仕込みや力仕事が必要なことから、オーナーはなかなか自由な時間を作れません。しかし、M&Aによる事業承継を行えば、現金と自由を得られます。お店を手放すことによって、オーナーとしての心理的負担から解放されます。創業者利潤として得た現金は、引退後のセカンドライフを楽しむ資金となります。
優良企業に事業承継を行うことによって、事業価値が高く評価され、適切な価格で取引することができます。

 

③従業員を守れる

事業承継を行う際に、買い手に従業員の雇用の継続を条件として取引をすれば、今までお店に貢献してくれた従業員を守ることができます。事業を手放す際に、従業員の将来に不安を持つオーナーは少なくないはずです。優良企業と事業承継を行った場合、お店を支えてくれた従業員は、その企業に継続して雇用され、さらなるキャリアアップを望めます。よって、オーナーは、安心してお店を手放すことができます。

 

パン屋・ベーカリーの事業承継のポイント

事業承継を成功させるポイントは、「お店の強みを買い手に明確に伝える」ことです。店舗数が多ければ、それも強みになりますが、1店舗の個人店で事業承継を行う事例も多くあります。それより、お店が駅チカであることや、学生でにぎわっている街、主婦に人気の街、などのパン屋としての需要の高いアピールポイントを提示しましょう。また、メディアで取り上げられ、話題性のあるお店は、買い手に魅力を与えます。
さらに、近年は、食の質が重要視されているため、天然酵母や無添加、あるいはアレルギーを持っている人でも食べられるメニューを持っているといいでしょう。自店の強みを分析し、買い手にわかりやすく伝えることが、交渉のカギとなります。

 

まとめ

ここまで、パン屋・ベーカリーの事業承継の基礎となることをご紹介しました。事業承継を前向きに検討するのであれば、ますはM&Aの専門機関に相談することをおすすめします。事業承継を行う目的と条件を明確にし、優良企業と納得のいく取引を行いましょう。

パン屋・ベーカリーの事業承継でお困りではないですか?
パン屋における業界は、大きく2種類に分けられます。
1つは、店舗内に厨房を持ち、パンの製造と販売を行う、街のパン屋といわれる「リテールベーカリー」です。
もう1つは、工場でパンを大量に製造し、売り場に輸送する、大規模なパンメーカーです。
日本では、売り上げの大半を大手パンメーカーが占めています。しかし、日本におけるパン屋の数は、9割以上がリテールベーカリーとなっています。小規模なパン屋が増加し、競争は激化しています。年齢・体力面・経営面の問題から、自店の事業承継を検討するオーナーも少なくありません。
ここでは、事業承継のために押さえておきたい最低限のポイントについてご紹介します。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
2019年4月21日
パン屋・ベーカリーのM&Aを実施する前に考えておきたいこと
2019年4月21日
パン屋・ベーカリーの事業売却のポイントとは?
WEBからお問い合わせ
当社はお客様の事を最優先で考える成果報酬型エージェントです。
匿名をご希望されるお客様には、会社情報など一切公開せずにお問い合わせ頂く事が可能です。

お問い合わせ内容

氏名

電話番号

メールアドレス

メールアドレス(確認)

業種

会社名

お問い合わせ内容