2018年2月22日 木曜日
右腕は育てるものか招聘するものか(3)
Written by 太田 諭哉
社内で人材を育てるために何をすればよいのか
「仕方ない。若手メンバーのなかから見込みのありそうな人物を選んで、右腕に育てるしかないようだ」。経営の本を読みあさった結果、そんな結論にいたったBさん。では、育てるための策はなんでしょう。本によれば、「経営経験を積ませよ」とあります。経営の重責を社長とわかちあえる人材に育成するためには、経営の当事者としての経験を積ませるのがいちばんいいというわけです。
具体的には、グループ会社を設立して、見込みのある人材をそのトップにすえる。そのグループ会社の経営については、本社の社長はいっさい口を出さず、トップにすえた人材に任せます。グループ全体の損益に巨大な影響をおよぼすのでなければ、たとえトップの判断ミスによってグループ会社が倒産してしまったとしても、本社の社長は口を出さない。自分自身で大きな決断をするように導くわけです。そうすることで、「経営の重責とはなにか」を心の底から理解することができるようになります。そうして育成できたところで、本社へ呼び戻し、社長の右腕として働いてもらうわけです。
「右腕」となる人材の成長を根気よく待つ。。のか?
「ずいぶん時間がかかるんだな」。右腕を育成する方法について学んだBさんの率直な感想でした。ワンマン経営のため、ひとりですべての責任を負い、さらに中間管理職や現場担当者がやるべき仕事まで手を広げているBさん。こうした仕事のいくつかを任せられ、会社の将来のことについて話しあえる。そんな存在をいま、切実に求めているBさんにとって、経営書にあった「社内の人材を右腕に育成する方法」は、あまりにも遠回りのような気がしてなりませんでした。