2018年2月20日 火曜日
右腕は育てるものか招聘するものか(1)
Written by 太田 諭哉
経営する教室のマネジメントとともに、会社全体の経営にも従事
Bさんはビジネスパーソン向けの英会話スクール事業を展開する会社の社長です。Bさんがかつて会社勤めをしていた時代、社費でMBA留学するにあたり、さまざまな教材やスクールで英語を学んだそうです。その経験から、ビジネスパーソンが短期間に英会話を身につけるための独自のプログラムを開発。オフィス街に教室を開くとともに、企業へ講師を派遣して英語研修を実施する2通りの方式で業績を伸ばしています。
創業6年目に入り、4つの教室をもち、継続的に英語研修を発注してくれる企業は6社になりました。Bさんは第1号の教室の室長を兼任。教室のマネジメントにあたるとともに、会社全体の経営にも携わっています。さらに、自ら法人向け研修の営業活動に従事しつつ、講師として教壇に立つこともあります。Bさんの超人的な働きによって、会社の成長が支えられている状態です。
創立メンバーで分業&専門化する、同業である後輩の経営
そんなハードワークをこなすBさんですが、「あいつのところはうらやましいな…」とこぼすことがあります。「あいつ」とは、Bさんの大学時代の後輩で、中高生向けの学習塾を運営する企業の社長、Cさんです。同じ教育業界の新興企業どうしとはいえ、Bさんの会社のほうが社歴は長く、売上高でも従業員数でも上回っています。とくに嫉妬するようなところはないように思えるのですが…。じつは、Bさんがうらやましがっているのは、Cさんの会社の経営陣の構成なのです。
ワンマン経営のBさんの会社と異なり、Cさんの会社はチーム経営。もともとCさんを含めた3人が共同で立ち上げた会社なのです。Cさんは、志望校合格を導く独自のカリキュラムの開発と、そのカリキュラムを生徒に教える講師たちの研修による育成の仕事に特化。ほかの2人が、教室の運営や生徒の学習状況と出欠の管理、保護者対応などの日常的なオペレーション業務と、生徒募集や新規教室を出す計画の立案・推進といった売上増加に直結する業務を引き受けてくれています。
そんな後輩をうらやましく思うと同時に、Bさんは「自分の右腕をつくりたい」と考えるにいたったそうです。