2018年2月17日 土曜日

「本当の社長の仕事」を知りたい(2)

Written by 太田 諭哉

トムヤムクン

厨房から離れて事業拡大のためバックオフィス業務に注力

 かつては自ら厨房に立っていたAさんですが、いまはもう調理の仕事はしていません。店長以下、各店舗スタッフにまかせています。現在のAさんの主な仕事は、人材の採用・教育と、出店戦略の立案・推進。そして奥さんとともに本部のバックオフィスの業務を引き受けています。ビジネスモデルはある程度、確立できたので、それを拡大していくための業務が中心です。

 しかし、そうした業務をこなしながらも、「自分がいまやっていることは、本当の“社長の仕事”なのか」という疑問はぬぐえずにいました。落ち着かない気持ちを整えようと、経営に関する書籍を読みあさったそうです。そうした本には、たいてい「社長の仕事は『なにをするべきか』という戦略を立案すること。その戦略を『どう実行するか』という戦術にかかわる仕事はCOO以下のメンバーにまかせなさい」と書いてありました。

今の仕事がやりたくてタイ料理店を始めたのか?と自問自答

 いまの自社にとって、『なにをするべきか』という戦略に相当するのは、出店にかかわる業務。マーケット状況と競合の状況を調査し、どこに出店するべきかを決める仕事です。Aさんの現在の業務はそれが主ですから、教科書通りということになります。奥さんと共同で担当しているバックオフィス業務と人材採用・教育の業務を専門的人材にまかせ、出店戦略の立案に専念すれば、より完璧でしょう。

 でも、Aさんは得心できません。「出店戦略を立てる。それが本当の社長の仕事なのか。私は、それがやりたくてこの事業を始めたのか」。心は晴れませんでした。

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「本当の社長の仕事」を知りたい
 心血を注いで起業し、事業がなんとか軌道に乗って業績は好調。経営者は会社の成長にすべてを捧げてとにかく全力で走り続けます。しかし、自らの事業やサービスが社会に認められる充実感とともに、ふと「社長の仕事ってなんだろう?」という疑問が浮かぶ瞬間が。。。そんな体験をしたことのある経営者の方は多いのではないでしょうか。組織の頂点に立つ経営者は「どんな仕事をするか」を自分で決められるはずですが、会社の成長に伴って、仕事と同じぐらい株主や取引先、金融機関といったステークホルダーへの配慮が必要になる場面が増えてきます。やりたい仕事とやるべき仕事のバランスを自らの意思だけで調整することが難しくなるのです。「本当の社長の仕事」とは何なのか、会社の成長に合わせて考えてみたいと思います。
Writer
太田 諭哉
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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