2017年1月24日 火曜日
人気ラーメン店の全株式を譲渡。世界を目指すためのM&Aという選択 (3)
Written by 小宮一哲 株式会社YUNARI
第3回 世界を目指すための、M&Aという選択肢
得意なものは何か、極められるものは何か――そしてたどり着いたのがラーメンである。
2005年、27歳のときに千駄木で『つけめんTETSU』一号店をオープン。焼き石を付ける独自手法で人気となり、味の良さと相まって、人気ラーメン店へと急成長を遂げ、2013年には年商20億円もの数字を叩き出す。この成功譚、小宮さんのビジネス哲学は『1年間“がむしゃら”に働くだけで、人生は180度変わる』(発行/クロスメディア・パブリッシング、発売/インプレスコミュニケーションズ)に詳しいので、ぜひそちらをご一読いただきたい。
さて、2014年、小宮さんは大きな決断を下す。それはつけめんTETSUの経営母体である株式会社YUNARIの全株式を譲渡。東証一部上場企業の株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスと資本提携を結ぶというものである。
「創業以来、一生懸命頑張ってきて、お蔭さまで20億円の価値があるラーメン店に育てることができました。でも目指しているのは日本一、世界一のラーメン屋です。ただこうなれば50億、100億のビジネス規模になります。達成するには自分たちの力だけでは限界があるとも感じていて、さてどうしようかと考えていたときにM&Aの話をいただいた。クリエイト・レストランツ・ホールディングスという大きなグループに参加することで、そのグループが持つ力を借りて一等賞を目指すことにしたのです」
クリエイト・レストランツ・ホールディングスは世界に16の関連会社を持ち、2016年2月期の連結売上は約1032億である。
「実は上場とかM&Aとか、あまりよく分かっていなかったんです。僕にとって目指す組織づくりができるのなら、どちらでもよかった。ただ上場とM&Aともに“公人としてのお金の使い方”がきれいでないと、実現しないことをスパイラルの太田諭哉さんに教えてもらったんです」
つけめんTESTUが3店舗目をオープンしたころで、そろそろきちんとした財務管理が必要だったことから、付き合いが始まったそうだ。
「うるさくてね、カチンとくることもありましたよ(笑) でも上場するにしろ、M&Aにしろ、どちらも可能な帳簿をつくることができたし、長時間労働になりがちな従業員の就労体制も法に則り調えることができました。いまは事業展開がスムーズに進んだことに感謝しています」