2018年12月2日 日曜日

【M&A用語】M&Aとは

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

「後継者がいない、このまま経営を続けるのは難しい」と頭を抱えてしまっている経営者の方は多いのではないでしょうか。

実際問題として、このままの人口増加率では、2025年までに120万社以上が廃業の危機にあるといわれています。

後継者不足による廃業です。

これは今日本が抱えている「少子化問題」が一番の要因です。

まだまだ続けられる会社やお店を失ってしまう危機に直面しているのです。

 

このような現代社会に、今話題になっているのが「M&A」です。

 

 M&Aとは

そもそもM&Aってどういうことでしょうか?

よく聞くワードだけど、イマイチよく分からないと思っている方も多いでしょう。

M&A(エムアンドエー)とは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略です。

 

合併・買収と聞くとなんとなく、あまり良いイメージがわかないかもしれません。

それにあの企業買収は大手企業間で行われることで、経営状態が悪くなった企業が、一方的に買いたたかれて吸収されてしまうのではないか?

「自分の会社そんなに規模が大きくないし、経営状態が悪いわけでもないよ」と思っている方もいるでしょう。

 

しかし、このM&Aは、まず企業の規模は全く関係ありません

そして、会社、お店の経営状態が黒字、赤字にかかわらず実施されています

M&Aは、個人経営者でも実施する可能性があるものです。

 

M&Aのメリットとは?

M&Aには、かなりメリットがあります。

主なメリットを5つご紹介します。

 

会社を廃業することもなく、売却して現金化できる

会社を廃業するとなると、従業員を解雇したり、銀行からの借り入れなど清算したり、役所への届け出など、と様々な面倒な手続きが必要です。

しかし、M&Aで会社、店を買ってもらうと、そのまま経営は引き継がれるので、廃業の各種手続きが全くないのです。

その上、売却代金が入ってきます。

 

自分が作ってきたお店を手放すのはとてもさみしいことですが、今までやってきたことが公正に評価された結果、売却代金が現金で入ってくるのです。

個人事業主の皆さんには、退職金制度がありませんが、このM&Aでの売却代金が退職手当に相当するのではないでしょうか。

 

もし赤字経営だったとしても、事業内容によっては高額売却が可能

経営をされている方なら、だれしもある程度の融資はうけていることが多いでしょう。

それは、技術面への投資だったり、人材育成のための投資だったりと、負の投資ではなく、有益な投資が多いのではないでしょうか。

 

ある事例をご紹介すると、塗装業を親子代々引き継ぎ経営していた方の話なのですが、高齢になってきたことと、他県に嫁いだ娘さんたちに特殊な技能がいる塗装業を代替わりさせるのは難しいと考えて、長年経営していた会社を手放すことにしたのです。

会社を売却する時点で、この会社には借り入れがあり、決算書上は赤字となっていました。

このために、長年付き合いがあった金融機関に「廃業したい」と相談すると、M&Aコンサルタントを紹介されたのですが、会社を売却することには難色を示されてしまいました。

 

決算書上は、借金があるわけですから、仕方ないと言えばそうなのですが、

この社長が素晴らしかったのは、この時、銀行に紹介されたところだけでなく、インターネットなどでM&Aを行っている複数のM&Aエージェントへも相談したことです。

ネット専業のM&Aエージェントは、すぐにこの社長の塗装会社を登録して、買い手を募集しました。

すると十数人の買い手が名乗りを上げたのです。

そのため、この塗装会社社長は、買い手を選べる立場になり、想定以上の高額で自分の会社を売却することができました。

M&Aエージェントが細かく分析して、売り手の経営体質、経営面の健康状態まで詳しく判断して、買い手との仲介をしてくれたということです。

 

後継者がいなくても、これまで積み上げてきたノウハウを次世代に残せる

先程の塗装会社社長も、会社を買ってくれた人が、塗装業をやったことがない方(設計事務所経営)だったので、営業の仕方、顧客との対応、地域との連携について、事細かく会社に出向いて、半年以上かけて引継ぎをする必要がありました。

しかし従業員もそのまま譲り渡しているので、高度な技術を持った職人さんをそのまま雇用し続けてもらうことができました。

社長が職人との接し方、育て方を事細かに、新しい会社の人事担当の方へとアドバイスしたのです。

自分が親から譲り受けて、育てた事業ですから、大切に次の方へと渡したかったのです。

 

M&Aを行うと、優良な経営者からお金では買えない素晴らしいノウハウを受け取ることができます。

これは、買い手にとっても、売り手にとっても大きなメリットではないでしょうか。

 

廃業するための費用がかからない

事業を廃業しようと思ったら、従業員への給与、退職金、など人件費を始め、設備を廃棄するのに手数料がかかります。

ほかにも役所への届け出に行政書士や、司法書士などへの手数料も必要です。

本当にお金がかかりますが、M&Aを行って事業そのものを売却することで、これらの費用が一切かかりません。

買い手にとっては、新しく事業を始めようとするタイミングで業界での業務になれた従業員、設備を得ることができ大きな資産となります。

 

事業拡張、シェアを拡大できる

全く違う業種の新しいビジネスとして始めたいと思っても、初期にかかる費用のために二の足を踏んでしまうことも。

しかし、先程の項目でもご説明しましたが、M&Aでは建物や設備だけでなく、従業員、スタッフもそのまま手に入れることができます。

そして、お店、スタッフを気に入って通ってくれるお客様もいます。

 

新しい事業を始めたとき、一番大切なのは、知名度とそれについてくるお客様ではないでしょうか。

いくら良い商品、良いサービスがあっても、知ってもらわないと売れません。

最初からこの「地域に密着したサービス」と「なじみ客」がついてくるところがM&Aによって事業を買い取る魅力の1つです。

既存の経営基盤に、今まで苦手だった分野や未知の分野をM&Aによって取り入れることで、経営を安定化させることができます。

 

M&Aのデメリットとは

メリットがあれば、やはりデメリットもあります。

今度は、デメリットについてご紹介していきましょう。

 

長年働いていた従業員が離職、お客が離れてしまうことがある

M&Aで会社、お店を譲渡された場合、設備、建物などハード面だけでなく、従業員、お客様といった人の面も引き継ぐことになります。

やはり人を扱うわけですから、経営者が変わることで、退職してしまうということが考えられます。

従業員、お客が離れるというのは、M&Aで会社を譲渡された場合ばかりではなく、世襲で会社を継いだ場合もよくあることなのです。

 

先代の経営者がどのように従業員に接していたかを十分考慮しなければなりません。

昔気質の経営者というのは、待遇面で、従業員のこと、その家族のことまで慮って対応しているケースがあります。

新しい経営者が面倒だ、古臭いと思い、あまり深く従業員と関わる経営をしない場合は、変化についていけずに辞めてしまう人もいます。

その点も十分考慮してM&Aの実施を検討しましょう。

 

事業計画通りに進まない

役員が買い手企業、売り手企業と2社から集まってきた場合は、従来の事業計画通りに進まないこともあります。

売り手側にとっては、トップが変わってしまうのですから、戸惑う従業員も少なくないでしょう。

社内の従業員同士も分裂してしまう可能性も考えられます。

合併当初は、社内の役員、従業員への配慮が不可欠となってきます。

 

新しい事業を始めるにあたり、お互いの培ってきたノウハウを出し合うことができれば、企業はかならず大きく成長していきます。

人間同士の摩擦で折角のM&Aが失敗に終わることが内容に注意しましょう。

 

M&Aの活発な業界例

今、M&Aはあらゆる業界で行われていくと思われますが、現在、特に活発に行われている業界には、

 

  • 飲食業界
  • 建設業
  • 美容業界
  • 医療業界

 

などが挙げられます。

これらを見て、何かお気づきになりませんか?

これらの業界すべてに共通することがあります。

 

それは、技術力にプラスしてサービス力が必要な業界だということです。

建設業に技術は欠かせませんが、技術力だけでは、建物はできあがりません。

施主さんとの緻密なコミュニケーションが必要です。

サービス精神が不可欠なのです。

 

これは、美容業界なら最も当てはまるのではないでしょうか。

技術力はもちろんのこと、カリスマ美容師と言われる方は、優れた技術力とともに、高度なサービス力を持っています。

お客様のニーズに応える力です。

カリスマ美容師についているお客様は、その美容師のファンなのです。

技術と自分に気遣ってくれるところに惹かれて、通い詰めるわけです。

 

スキルもサービス力も、そっとやちょっとではすぐに身につきません。

つまり、買い手側としては手を出したい事業があっても、いちから始めるのにはハードルが高く、すでにスキルとサービス力のある企業を取り込むことができるM&Aを行ったほうがよいのです。

そのため売買が積極的に進みます。

 

M&Aに関連のある用語

M&Aを進める上で、関連する用語を覚えておきましょう。

 

事業譲渡

会社の事業を、第三者に譲渡(売却)することです。

譲渡対象は、マンパワー(人;従業員)、モノ(設備、建物、工場)を含みます。

売り渡した側の企業は、その後、同じ事業を行うことは制限されます。

 

事業譲渡は商法によると、契約になります。

事業の全部を譲渡することも、一部を譲渡することも選択できます。

また、債務を切り離して譲渡するなど範囲を定めて契約できます。

 

事業承継

事業を次世代へ引き継ぐことです。

従来は、事業承継は、親族承継が主でした。

親から子へ事業は引き継がれていったのですが、現代社会では、「子供には家業に縛られずに、自由な道を歩んでほしい」という考えの方が多いのです。

また、少子化により引き継げる次世代がいないという事態になっています。

そのため、親族承継から親族外承継へと流れが変わってきています。

 

株式譲渡

会社の経営者が所有している株式を、会社を買った人に譲渡することです。

会社の経営者は、筆頭株主である場合が多いので、この経営者が持っている株式をすべて譲渡するということは、経営権も譲渡するということです。

株式を譲渡して、すぐに引退する場合もありますが、残って事業の引継ぎをすることもあります。

 

まとめ

【M&Aに向いている中小企業、個人事業主は実は多い】

  • 親族だけでなく、後継者がいなければ、親族外にでも事業承継ができる
  • M&Aが向いているのは意外に身近な業界ばかり(美容業界、医療業界、飲食業、建設業など)
  • 自営業者にはM&Aでの売却代金が退職金がわりになる

 

などなど、M&Aがぴったりな、企業、お店は多いはずです。

この機会に一度、この「M&A」を検討してみてはいかがでしょうか。

【M&A用語】M&Aとは
「後継者がいない、このまま経営を続けるのは難しい」と頭を抱えてしまっている経営者の方は多いのではないでしょうか。
実際問題として、このままの人口増加率では、2025年までに120万社以上が廃業の危機にあるといわれています。
後継者不足による廃業です。
これは今日本が抱えている「少子化問題」が一番の要因です。
まだまだ続けられる会社やお店を失ってしまう危機に直面しているのです。
このような現代社会に、今話題になっているのが「M&A」です。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
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