2018年12月3日 月曜日

【M&A用語】IPOとは

Written by 太田 諭哉(おおた つぐや)

自分の経営する会社を上場させてみようと思ったことはありますか。

突然の質問で驚かれたかもしれませんが。

そんなことができるの?と思った方もいらっしゃるでしょう。

今は自社株を公開して、上場企業なれるというのは、あながち遠い未来ではないのです。

東証では、この上場企業を増やすことを積極的に検討しています。

上場しやすくなったといってもいいかもしれません。

そして、証券会社でも、未公開株が上場することを歓迎しています。

なぜなら、買いたがっている投資家が多いからです。

ただしIPOして上場しても株価が上がらない場合もあります。

IPOについて、詳しくご説明していきます。

 

IPOとは

IPOとは、Initial Public Offeringの略語です。

日本語に訳せば、「新規公開株」や「新規上場株式」となります。

具体的には、未公開株を投資家に売り出して、証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすることをIPOといいます。

IPOについて、東証が上場企業を増やす動きを見せています。

各証券会社もIPOを積極的に引き受ける姿勢をみせているのです。

最近は、ベンチャー企業などのIPOが注目されています。

このIPOというと、M&Aというワードも出てきます。

M&Aというと、最近ではかなり身近になってきましたよね。

後継者がいない企業が、このM&Aで何とか存続できたという話や、ニッチな産業が、このM&Aにより新しい企業パートナーを見つけて生き返ったという話もよく聞くものです。

 

今、経営者の間で、自分の会社の株を上場させる「IPO」と事業売却、株式譲渡、事業譲渡など、多岐にわたるスキームを持つ「M&A」とでは、どちらが自社の経営体質にあっているのかなと悩んでいる方も多いと聞きます。

IPOとM&Aは大きく見れば、同じ仲間です。

IPOは、会社が持つ資産の中で、「株式」に特化しています。

この点が、M&Aと違うところではあります。

 

この項では、「IPO」は何かということをご説明しました。

次項では、実際にIPOを行う上でのスケジュール、すなわち「流れ」についてご説明していきましょう。

この流れを見ることで、IPOが自分の企業にあっているかどうかの判断基準のひとつにはなるのではないでしょうか。

 

IPOの流れ

上場を承認してもうためには、2つの機関での承認が必要になります。

<第一関門>主幹事証券の引受審査部

<第二関門>証券取引所

第一関門の主幹事証券の引受審査に通過することにより申請できます。

証券取引所の審査が通り申請ということになると証券取引所の審査に落ちるということはほとんどありません。

主幹事証券引受審査部は、証券取引所が承認する可能性がある企業しか審査を通過させないのです。

ですから、第一関門で上場できるかどうかが決まるのです。

引受審査部との関係性が非常に大切です。

まず、正確な資料をそろえて、密な連絡を取るようにして信頼してもらうことが上場への確実な近道となります。

上場承認までは、6か月ほどの期間がかかります。長丁場になることも覚悟しておく必要があります。

《主幹事証券引受審査とは》

まず、主幹事証券公開について引受審査部の指導があります

そのあと、様々な確認が行われます。

(確認される事項)

  • 上場適格性
  • 経営管理体制
  • 人事、労務管理状況
  • 会計制度
  • ビジネスモデル
  • 業績の推移
  • 事業計画

 

ここまでの確認がすべて終わり、

株主総会の開催

上場申請の決定!

《証券取引所審査とは》

さきほどの、主幹事証券引受審査を通過して申請が行われた後、証券取引所の審査がはじまります。

 

  • 主幹事証券審査部との事前確認(主幹事証券引受審査内容の確認、反社会勢力との関係、事業成長度の高さ、証券取引所の審査日確認)
  • ヒアリング(面談)
  • 実地調査、公認会計士とのヒアリング
  • 社長と監査役との面談

上場承認

ファイナンス期間

株式上場

《申請に必要な書類とは》

  • 会社案内、商品、製品カタログ
  • 定款、就業規則、社内規定
  • 直近5期間の事業報告
  • 直近5期間の税務申告書(勘定科目明細書も含む)
  • 直近5期間の明細書(請求書、領収書等)
  • 直近2期間の取締役会議事録
  • 監査法人による事前調査報告書
  • 関係会社の直近2期間の事業報告書
  • 関係会社、特別利害関係企業の取引一覧表

ざっとした流れをご紹介してきました。

正直な感想は、「わっ、大変そう」と思ったかもしれません。

良く考えてみてください。

「上場企業」というのは、かなりの値打ちがあるものです。

自分の会社が上場するなんて、経営者の大きな夢ではないでしょうか。

今、深刻化している「人材不足」問題ですが、上場企業にはエントリーする大学生、若年層就活者は多数いるのです。

優秀な人材は、上場企業に集まります。

優秀な人材が、もっと企業の体質を強くしてくれるのです。

上場企業になれば、かずかずのメリットがあります。

次の項目では、そのメリットについてお話していきます。

 

IPOのメリットとは

大きなメリットは、上場前から持っていた株が、上場すれば株価は上がります。

そのため利益を得ることができます。

上場後に株価がどんどん上がればそれだけ利益を得ることができるのです。

他には、

 

▼上場企業という社会的信用度のアップ

先程もお話した、就職希望者が増えることもこの信用度アップの恩恵であります。

上場して間もない会社というのは、若者にとってかなり夢があります。

自分が就職して、もっとこの会社を大きくしたいという野心のある若者が集まる可能性もあります。

そんなエネルギッシュな若者を雇用するチャンスもあるわけです。

これは人材確保の点でも、かなり大きなメリットではないでしょうか。

 

▼金融機関からも信用度がアップして資金調達が楽になる

これも素晴らしいメリットですね。

IPOを申請するときに、かなり厳しい審査を受けますし、あらゆる資料をそろえる必要があります。

そんな厳しい審査に通過した企業です。

銀行などは、その申請内容なども熟知していますから、この企業なら融資しても大丈夫と太鼓判を押してもらえるわけです。

 

▼従業員の士気があがる(上場企業の社員になれる)

自分たちが働く会社が、上場するなんて働く側からもかなりラッキーなことです。

従業員も住宅ローンを組む時の審査でも、上場企業勤務だと審査に通りやすくなります。

従業員にも恩恵がありますから、一生懸命働こうという気持ちは芽生えてきます。

 

▼申請には様々な角度から審査が行われるので、それに伴い経営体制の見直しが図れる

税務申告書、役員会議事録、人事労務管理体制の確認などいろんな書類を準備する必要があります。

このことから過去の決算状況なども把握することになり、具体的な問題点も出てくるかもしれません。その問題点は、会社の将来に役立つ資料となります。

これらの企業情報は定期的に確認する必要があるのですが、経理や総務部門の社員に任せっぱなしになってしまいます。

経営者は、日ごろから、これらの内部情報をしっかり把握する必要があります。

 

▼創業者利益の享受

先程もお話しました持ち株の株価上昇による利益が受け取れること。

そして優秀な社員が集まるチャンスが増えるということも大きなメリットです。

人財という言葉あります。

企業の財産は、不動産、車両、設備、有価証券、現金、など資産だけでなく、従業員という人財も大切な財産ではないでしょうか。

このIPOは経営者にとっては大きなメリットが受けられることがわかります。

 

IPOのデメリットとは

まず一番のデメリットは、さきほど「IPOの流れ」でお話した、申請業務の複雑さと時間がかかること、申請に係る審査費用、監査報酬などの手数料が発生することです。

そのほかのデメリットを挙げると

 

▼新しい株主が出現する

未公開だと筆頭株主=経営者で、他にも親族などが株を持っていました。

顔の見える株主です。

しかし、株式を公開すると全く見ず知らずの人が株購入して株主が増えます。

企業にとっては、この株主は大切な存在なのですが、企業主は、株主一人一人の声にもこたえていかないのです。

今までの企業理念を一人一人に伝えていくのはかなり困難になっていく可能性があります。

 

▼新たな費用が発生する

上場企業を維持するには、新しい費用が発生します。

株主総会の会場を借りて行う必要があります。

全株主に案内を送る必要もあり、委任した株主に対しても総会資料を送付しますので、印刷費、郵送費なども発生します。

また、会計監査に関しても企業の規模が大きくなりますので、監査報酬料も高くなります。

そのほか、企業名が有名になります。それだけいろんなトラブルも発生する可能性があります。

顧問弁護士など必要な時だけでなく常時、対応してもらうためにも報酬料が必要になり、裁判などになると裁判費用もキープしておく必要もでてきます。

上場企業は、経営者一人のものではありません。

もちろん中小企業、非上場の企業も同じなのですが、上場となるとネームバリューが上がってきますから、自分が創業した会社ではあるのですが、従業員、株主、その会社のサービスを使うすべてのお客様などみんなのものになるのです。

そのことをよく理解する必要があります。

そして、これもデメリットになる項目を最後にご紹介します。

 

《インサイダー取引規制にもご注意》

まず、上場企業の経営者はもちろん、役職員、大株主などは株価に影響する「重要事実」を知りえる立場にあるものは、その重要事実が公開される前に特定有価証券を一定期間は、株を売買することが制限されます。

これはインサイダー取引規制の対象になるためです。

それと、また上場すれば、株価が必ず上がるという確証もありません。

このデメリットがあるからこそ、IPOをするかどうか悩ましい点なのです。

 

IPOに関連のある用語

M&A

M&A(エムアンドエー)とは『Mergers(合併)and Acquisitions(買収)』の略です。

この通りでM&Aを理解すると、企業が買収されるというイメージが強くて、買収した側が強いと思いがちです。

実際、一昔前までの企業買収は、買い手が強く売り手は弱かったのです。

しかし、現代では、買収、合併等より、「統合」というイメージが強いですね。

同じ志の企業が統合するのが、現代のM&Aだと理解していただきたいです。

 

事業譲渡

会社の事業を、第三者に譲渡(売却)することです。

譲渡対象は、マンパワー(人;従業員)、モノ(設備、建物、工場)を含みます。

売り渡した側の企業は、同じ事業を行うことは制限されます。

事業譲渡は商法によると、契約になります。

事業の全部を譲渡することも、一部を譲渡することも選択できます。

また、債務を切り離して譲渡するなど範囲を定めて契約できます。

 

ストックオプション

その会社の社員が、一定期間の間、自社株をあらかじめ決められた価格で購入できる権利があたえられることです。

自社株を所有している社員は、株価が上がれば上がるほど利益を得ることができますから、

一生懸命、働いて企業業績を上げようと頑張ります。

そうやって頑張ることが、会社や株主への利益にもつながっていきます。

これが「ストックオプション」の仕組みなのです。

ストックオプション制度は、IPOを目指す企業、または上場している企業で用いられることが多いのです。

 

まとめ

企業を上場させることは、最近は身近になってきています。

そして、企業の買収合併であるM&Aも身近であり、おの手法をうまく使いこなせるかどうかで、自社の将来も決まってくる可能性があります。

 

おさらいとして、M&AとIPOの類似点と相違点をご説明します。

さきほどM&A用語説明のところでM&Aのスキームの一つ「事業譲渡」についてお話しましたが、IPOとは少し似ている点もあります。

IPOできても、必ず売却できるということはありません。

買い手が必要です。

これは株取引の基本です。

売りばかりで買いがなければ株価もさがってしまいますよね。

しかし、M&Aですと対象の株式は確実に売却できます。

 

また、IPOは、将来株価が上がれば、その利益を受けることはできますが、M&Aは売り切ってしまいますので、将来に利益を取り込むことはできません。

IPOは、先程もお話しましたが、主幹事証券審査と証券取引所の審査に通過する必要があります。M&Aは買収側が合意すれば成立します。

しかし、株式譲渡の場合、M&Aでは全株主の同意が必要になります。

 

これらのIPO、M&Aの特徴を踏まえて、自分の会社に合うスキーム見つけていただきたいです。

【M&A用語】IPOとは
自分の経営する会社を上場させてみようと思ったことはありますか。
突然の質問で驚かれたかもしれませんが。
そんなことができるの?と思った方もいらっしゃるでしょう。
今は自社株を公開して、上場企業なれるというのは、あながち遠い未来ではないのです。
東証では、この上場企業を増やすことを積極的に検討しています。
上場しやすくなったといってもいいかもしれません。
そして、証券会社でも、未公開株が上場することを歓迎しています。
なぜなら、買いたがっている投資家が多いからです。
ただしIPOして上場しても株価が上がらない場合もあります。
IPOについて、詳しくご説明していきます。
Writer
太田 諭哉(おおた つぐや)
1975年、埼玉県生まれ。1998年に早稲田大学理工学部を卒業し、安田信託銀行株式会社(現・みずほ信託銀行株式会社)に入行。2001年に公認会計士2次試験に合格し、監査法人トーマツに入社。おもに株式公開支援、証券取引法監査、商法監査の経験を経て、2003年に有限会社スパイラル・エデュケーション(現・株式会社スパイラル・アンド・カンパニー)を設立し代表取締役社長に就任。
「未来を創造し続ける会計事務所」のリーダーとしてベンチャー企業・成長企業の支援を積極的に行っている。
2018年12月3日
【M&A用語】デューデリジェンスとは
2018年12月3日
【M&A用語】M&Aブティックとは
WEBからお問い合わせ
当社はお客様の事を最優先で考える成果報酬型エージェントです。
匿名をご希望されるお客様には、会社情報など一切公開せずにお問い合わせ頂く事が可能です。

お問い合わせ内容

氏名

電話番号

メールアドレス

メールアドレス(確認)

業種

会社名

お問い合わせ内容